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2017-12-14 00:00
北朝鮮ミサイルと漁船漂着は国難
赤峰 和彦
自営業
11月15日に転覆していた北朝鮮漁船(3名)の救助以降、日本に漂着した北朝鮮漁船の乗組員の保護、遺体や漂流船の発見などが増加しています。北朝鮮は、日本の排他的経済水域に入り込み違法な漁をしています。特に好漁場の北海道天塩沖の武蔵堆(たい)や能登半島沖の大和堆には、数百隻に及ぶ北朝鮮の漁船が入り込み海上保安庁の対応が追い付いていません。彼らは集団密漁だけではなく、北海道松前小島(無人島)に避難した漁船は、地元漁協が島で保管していたテレビや冷蔵庫などの家電製品や燃料、ソーラーパネルに至るまでことごとく盗むなどの不法行為を行っていました。多くのメディアは、「人道的な配慮」を理由に、状況の確認と問題の本質に対するアプローチを怠っています。そもそも事態をどう判断したらいいのかわからないだけでなく、意図的に報道を避けているように感じます。一方で、北朝鮮にシンパシーのある毎日新聞社は、漂着した8人を長崎県の入国管理施設に移送させ早期に中国経由で帰国させることを手放しで喜んでいます。北朝鮮が拉致を繰り返してきた犯罪国家であるという前提を一切報道しない毎日新聞社には大きな疑問が残ります。
今回の出来事は、例えるならば次のような話と同じです。暴力団の組員が民家の娘をさらって行きました。しばらくしてその組員が盗みや犯罪を繰り返して警察に捕まったのですが、警察はその組員の過去の犯罪を調べもせず、食事を与え丁寧に泊めてやり、迎えに来させるどころか警護をつけてバスや飛行機を使い暴力団事務所まで送り届けてあげました。横田恵さんのご家族はじめ拉致被害者のご家族にとっては、日本政府の北朝鮮漁師に対する早期帰国措置は上記の話しと同様で、すんなりと受け止められるはずはありません。日本政府及び外務省は北朝鮮に対し、不法入国の漁民と拉致された方々との交換を要求するのは当然のことです。また、違法操業、不法入国、窃盗の容疑を厳しく取り調べた上、軍務経験の有無を徹底して調査し、断固たる措置を講ずるべきです。決して安易な帰国を許してはなりません。
外務省には北朝鮮問題や拉致問題を主体的に解決しようとする意思がないように思います。せいぜい、拉致被害者家族をアメリカの大統領に合わせる程度で、他人任せの事なかれ主義がはびこっています。今年の2月に暗殺された金正男氏が、2001年ディズニーランドに行く目的で来日したとき、時の外相田中真紀子氏と外務省は密入国容疑の彼を拘束せずみすみす国外に追放しました。外務省は金正日の長男と拉致被害者との交換の最大の好機を放棄したのです。また、外務省は、北朝鮮とのストックホルム合意も自らの不手際により台無しにしました。日本政府の口先だけの「圧力」と外務省の事なかれ主義は北朝鮮に何の影響力も与えていません。北朝鮮によるミサイル発射、密漁、領海侵入、不法入国、漂着問題に日本国民は苛立っています。このままでは、かつての尖閣漁船衝突事件、あるいは、小笠原諸島周辺水域での中国船サンゴ密漁事件と同様、日本国民を守るための有効な手立てを講じないままの国家になってしまいます。
こうした日本政府の姿勢が、北朝鮮や中国の不法行為をエスカレートさせた側面は否めません。現在、海上保安庁では対応できないほどの多くの北朝鮮漁船が日本海を徘徊しています。少なくとも海上自衛隊の護衛艦、それもヘリコプター搭載の出雲級の大型護衛艦を武蔵堆や大和堆周辺に出動させるなどの措置を取り、北朝鮮を強く牽制する必要があります。また、同様に尖閣諸島周辺の中国による挑発に対しても断固たる措置を講じるべきです。日本政府と外務省、また与野党問わず全国会議員は眼前に広がる国難に対して、今こそ真剣に取り組むべきと考えます。
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