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2018-01-06 00:00
(連載3)民主主義政治体制の危機へどう対処するか
廣野 良吉
成蹊大学名誉教授
以上列挙した議会制民主主義政治制度、普通選挙制度の欠陥や、市民の自治意識・ガバナンス体制の欠如・欠陥を早急に排除することが、国政、地方政治でも民主主義の理念・政治制度を一層貫徹するために不可欠である。以下、実行可能な範囲内での国政、地方自治レベルでの議会制民主主義政治制度の改革と議会運営上の改革を、若干提案したい。なお、この課題に関する具体的提案は詳細にわたるので、ここでは、その具体的提案の主題のみ列挙する。詳細な具体的提案は次回の投稿で述べたい。
(1)国会の改革:民主主義的政治制度の一環として基礎づける三権分立制度の確立によるチェックアンドバランスの推進、(2)普通選挙制度の改革:(a)小選挙区一人多数票から複数多数票による立候補者選定、(b)特定既得権益集団の利害中心から一般市民の経済・社会福祉改善、環境保全・文化芸術活動に対する政策を中心とした選挙戦への移行、(3) 国会審議・運営制度の改革:(a)重要議案の成立に必要な賛成議席は3分の2以上、(b)国会、地方議会における政党党議拘束制度からの解放、(c)議員立法制度の大幅導入、(d)頻繁な公聴会の開催と国民陳情書の審議・採択の活性化、(e)国民のレファレンダム制度の活用など。(4)国会議員の報酬と報告責任に関する改革、(5)内閣総理大臣の選出は選挙民による直接選挙制の導入、(6)地方自治体レベンルでの民主主義政治制度の改革。
以上、民主主義の理念を貫徹する民主主義的政治制度の現状とその在り方について考察してきた。公正、平等、自由、参加を基軸とする民主主義の理念に立脚した政治制度の発展は、国家間で若干の時間的・制度的仕組みで差異がみられるが、いずれも19世紀後半以降の近代化過程で顕著となった比較的新しい政治制度である。いくつかの国々では21世紀の今日でも、未だ定着は愚か、導入さえされていない。本政治制度は、基本的には住民、国民が主権者として行使する普通選挙制度と三権分立制度を両輪とした制度である。前者は、最高意思決定機関たる地方議会と国会が、住民、国民を代表し、後者は立法府が制定した条例・法に基づいてその政策を履行する行政府と、国の最高法規たる憲法とその他の法律に基づき、行政府の権力行使を監視し、立法府の法制行為の合法性を審査する司法府による相互牽制体制を意味する。この両制度により、民主主義の理念がどの程度実現し、住民、国民の経済的・政治的・社会的福祉の向上、環境保全、文化的充実につながるかどうかは、立法府、行政府、司法府の三権分立制度にく基づく運用如何によるが、最終的には、住民、国民の監視体制によって規定される。
かくして、いかなる地方自治体や国においても、民主主義の理念の貫徹は、一方で民主主義政治制度の存在と、他方ではその制度を運用・監視する住民、国民の決意と能力によって規定される。我が国に於いては、民主主義の理念に基づく民主主義的政治制度が第2次世界大戦後の民主化過程で導入されたこともあって、地方議会、国会とその運営はもちろんのこと、行政府や司法府によって導入された諸制度・仕組みとその運用も未だに改善・改革すべき点が多々存在する。と同時に、これらの法律、制度とその運用を監視し、民主主義の理念に合致するかどうかを検証し、国内外の環境、価値観の変化に即して民主主義的政治制度の再構築責任を有する地域住民、国民の意志および能力の向上が急務である。Better Late than Neverである。(おわり)
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