ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2007-05-21 00:00
景気回復の実感を国民に与えよ
大藏雄之助
評論家
安倍内閣は教育再生や憲法改正を掲げて、一部からは「戦後最悪の反動政権」という非難を浴びせられているが、かつて同じレッテルを貼られた首相は何人もおり、しかもそれらの方が国民の高い支持率を維持した事実がある。しかも現在、有権者の重視する政策はこのような国家の骨格に関するものではなくて、景気回復である。
わが国は目下、戦後最長の景気上昇を続けているという。しかし、いっこうに豊かになったという実感がない。それは、景気上昇の坂が非常に緩くて、高度成長期の1年分にも及ばないからである。大手の企業は利益を上げているものの、個人の所得は、平均では僅かながら減少している。もっとも、デフレによって物価は、ガソリンなどを除けば値下がりしているから、生活水準を下げなければならないわけではない。
にもかかわらず、消費は縮小傾向にある。これが景気の足を引っ張る悪循環の根本原因である。お金があるのに、特に高齢者が出し渋るのは、先行きの見通しが暗いと判断しているからに違いない。けれども、国際的に比較して、日本の年金や健康保険の制度は、所得税を含めた公的負担金の割には悪くないし、すでに年金生活に入っている層は、物価調整措置以上に減額されることはないのだから、将来についての心配は不必要なはずだ。
20年近く前のバブルの絶頂期には、円は強く、株は高く、消費は美徳だった。しかしながらその時期、株をうまく売り抜けて一財産作った人はほとんどいない。預貯金の大幅な金利と自分の持ち株の値上がりを確認して、気が大きくなって贅沢に振る舞ったのである。先憂後楽と言えば聞こえがいいが、とにかく社会の不安をあおり立てることの好きなマスコミの報道を断ち切って、政府・与党は今こそ国民に明るい展望を示すべきである。その一端として、塩漬け状態の預貯金の利子を引き上げれば、そこから消費が動き出すことだろう。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
公益財団法人
日本国際フォーラム