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2018-02-23 00:00
人権を政治利用してはならない
赤峰 和彦
自営業
障害者らへの強制不妊手術を認めた旧優生保護法(1948~96年)によって不妊手術を強制された女性が国に損害賠償を求める訴訟を起こしています。旧優生保護法は「優生上の見地から不良な子孫の出生防止」、すなわち障害の有無で人に優劣をつけ、生物学的に障害者の抹殺をはかったおぞましい法律です。表向きには、障害をもつ子どもの出生は家族と社会の負担であり、本人にとっても不幸なものだから障害者の出生を防止すべきだというもっともらしい理屈をつけています。しかしその発想は、人がなぜ生命を与えられているのか、生命の尊厳性がどこから来るのかという意味を深く洞察していないことから生ずるものです。障害者を汚らわしい者と見て社会から葬り去ってもかまわないという安易な優越意識と偏見に満ちているものです。2016年に発生した相模原の障害者施設での殺傷事件も、根本に優生保護法と同様の考えのある人物が引き起こした事件でした。
今回の訴訟に応じて、常日頃から人権を口にする左翼系の政治家や言論人たちが「政府が被害者にだんまりを決め込んでいるのはおかしい」「日本の人権意識の低さがひときわ目立つ」などと政府攻撃をしています。しかし、旧優生保護法成立の経緯を見ると彼らの批判には違和感があります。なぜなら、この法制度はそもそも彼らの強い主張で出来上がったものだからです。彼らは自分たちのやってきたことに目をつぶり、政府攻撃に利用して利益を得ようとしているのです。旧優生保護法は、かつて日本社会党(現社民党)の福田昌子、加藤シヅエらが強力に推進した法律です。この法の下、本人の同意がない優生手術が統計だけでも約16,500件ありました。なかでも1,400名もの優生手術を施した宮城県では、1960年代、社会党系県議の求めに応じる形で手術件数を急増させたことが明らかになっています。人権を主張する側の人が実は、障害者を見下し、障害者を機械の不良品のように考えていたのです。優生保護法にはもう一つの背景があります。左翼系の人々は「産めよ殖やせよという人口政策は侵略主義につながる」という短絡的な考え方から、優先保護法を積極的に推進した経緯がありました。また、2003年に少子化社会対策基本法が立法化された際、社民党の福島瑞穂氏は「人口の増減を国家がコントロールすることは許されない」と強く反対しました。その後、福島氏は民主党政権下で臆面もなく少子化対策担当大臣に就任していますが、実質的には少子化対策は何もしなかったのです。
社会党の流れをくむ社民党や旧民主党議員たちは、何かにつけ人権を口にして、補償や保護をすべきとの主張を繰り返していますが、そこに空々しさを感じるのは、彼らに人を尊重し、人を愛するという大事な観点が欠落しているからだと思います。自分たちは優位に立つ存在と考えているからにほかなりません。先日、河野太郎外務大臣が中国の報道官の女性と一緒に写真を撮りツイッターに載せた途端、民進党の小西議員が「大臣がこんな立場の低い人間と一緒に写真を撮るな」という趣旨の発言をしました。これなども、相手の人権無視と差別の心が顕著であることを象徴しています。
左翼系の人々が「人権」を政治利用することで、むしろ被害者や社会的弱者と言われている人々の本当の人権が損なわれ蹂躙されている場合が多いのです。人権を声高に叫ぶ人や、様々な権利主張をする人たちの本性が、今後ますます明らかになってくると思われます。そして、彼らの言葉だけの偽りの人権擁護発言が、実は自分たちの利益のために使う道具に過ぎないということを多くの国民が知ることになると思います。
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