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2018-03-02 00:00
反日“ちゃぶ台返し”の文は相手に出来ぬ
杉浦 正章
政治評論家
まるでオリンピック終了を待つかのような韓国大統領文在寅による“ちゃぶ台返し”である。慰安婦問題の解決を合意した日本に対してまだ終わっていないと批判演説をぶった。政府が反論したのは当然だが、もう国民は韓国の蒸し返し外交に飽き飽きしているのが現実であろう。2015年12月28日の日韓外相会談での慰安婦合意は、安倍政権と朴槿恵政権による合意だが、政権が代わったからといって手のひら返しをするのは、文在寅がいかに国際外交の基本に無知であるかを物語るものだろう。国家間の約束は政権が代わっても責任もって実施することは、国際的に普遍的な概念である。この度しがたい左派反日政権に対しては外交交渉が通じない。当分相手にしない方が得策のような感じがする。日韓関係は冷え切った時代に入った。
日韓合意は(1)日韓両国政府は慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した、(2)安倍は、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた責任を痛感し、お詫びと反省の気持ちを伝えた、(3)日本は元慰安婦支援の財団に10億円を拠出する、(4)国際社会での批判非難を控える、を骨子としている。この合意に対してまず外相康京和が違反の口火を切った。康はこれまでの慰安婦対応について国連人権理事会で「被害者中心の対応を明らかに欠いている」と発言したのだ。これは明白に慰安婦合意の「国際社会での非難・批判を控える」という部分への約束違反であり、合意を確信犯的に破棄したことを意味する。文在寅は2月9日に訪韓した首相安倍晋三との会談で、慰安婦問題について「政府間の交渉で解決出来ることではない」と指摘していたが、さらに踏み込んだ表現で1日「最終解決」を改めて拒否した。独立運動の記念式典で演説した文在寅は「加害者である日本政府が『終わった』と言ってはならない。不幸な歴史であればあるほど、その歴史を記憶して、それから学ぶことだけが真の解決だ」と述べた。また島根県の竹島について、「日本の朝鮮半島侵略の過程で最初に支配された土地で、韓国固有の領土だ。日本がその事実を否定するのは、帝国主義による侵略に対する反省を拒否することにほかならない」と強い調子で日本を批判した。
まさに“ちゃぶ台返し”だが、官房長官菅義偉が、「日韓合意に反するものであり、全く受け入れられない。極めて遺憾であり、韓国側に対し直ちに外交ルートでわがほうの立場を伝え、強く抗議した。わが国としては、この合意に基づいてやるべきことはすべてやった。あとは韓国が約束をしっかり履行することを強く求めていきたい」と反発したのは当然である。竹島に関する文の発言は、歴史的な事実に反する。竹島は1905年に国際法上の手続きを経て島根県に編入したものであり、韓国の不法占拠こそが問題なのである。こうした文の発言に対してはさすがに韓国国内からも批判が生じている。1万人が集まった保守派の集会では、元統一省次官金錫友が「文在寅大統領は国内対立を回避するために対日問題を政治利用している」と看破している。最近の国際世論もいささかあきれている様子である。平昌五輪の開会式を中継していた米NBC放送の解説者が「日本は韓国の手本」と発言。この発言に連動して米経済誌「フォーチュン」も、「発言は重要な真実を含んでいる」との趣旨の記事を掲載した。日韓の歴史を知る解説者なら当然の反応であろう。
日本の朝鮮統治については、否定的な面ばかりが強調されてきた。日本の一部マスコミも、これに同調しているが、植民地時代という時代背景を忘れている。ヨーロッパの各国の過酷な植民地政策に比較して、日本は、朝鮮の経済・産業・教育などのインフラ構築に、はるかに多くの努力と費用を費やしてきた。李朝末期で腐敗しきった政治を立て直し、国民への教育制度も確立した。もっともひたすら日本叩きに精を出している反日文在寅にそんなことを言っても、聞く耳を持つわけがない。冒頭述べたように、日本ではまたかという「韓国疲れ」がたまっている。今度の場合は文に譲歩する必要もないし、極東安保を考えれば超強硬策を取るわけにもいかない。この冷え切った日韓関係は、るる述べてきたように指導者としての大局観に欠ける文在寅に責任の大半があり、あえて、関係改善を図ることもないのではないか。もちろん安倍が再び謝る必要などさらさらない。文在寅にはオリンピックが終わって、人気を維持するために反日の“禁じ手”を使う卑しい魂胆がありありと見える。こんな大統領をまともに相手にしても仕方がないと言うことだろう。
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