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2018-03-03 00:00
人道支援という名のブラックビジネス
赤峰 和彦
自営業
国連や国際NGOの人道支援活動が、救済からビジネスへと変質しているように見えます。非営利で公共の利益を目的とする人道支援組織は、非政府組織であるNGOと非営利組織であるNPOの両者の性質を兼ね備えていることが多いようです。有名なものとしては赤十字を筆頭に、貧困撲滅を提唱するオックスファム、国境なき医師団など、世界には2000以上の組織が存在しています。多くの人道支援組織はNGOを冠しています。NGOという用語はもともと国連の経済社会理事会から生まれたため、一般的に権威ある団体と受け止められがちですが、Non-governmental(政府機関ではない)組織で、本質はボランティアの集合体と理解する方が正確です。実際、国連の人権理事会で日本を貶めることを目的として活動するNGO組織も存在するので、NGOであるからといって全面的に信頼できる組織ではありません。
ここ数年、国連や国際NGO組織の中で、卑劣な性的搾取(レイプ、売春)が頻繁に起きているとの告発が相次いでいます。ハイチ大地震の際には、ハイチに派遣された支援要員の買春・いじめ・脅迫行為に憤ったジョブネル・モイーズ大統領は、「自然災害で人道的な支援を必要とする最も弱い立場の人々に対して地位を利用する性的攻撃者ほど許しがたく不誠実なものはない」と発言しています。現時点でも支援要員の蛮行が繰り返されており、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、国連PKOや特別政治ミッションの要員によるレイプや性的虐待などが、2016年だけで145例、食料や衣服と交換に性行為を要求していた事例が38例に及ぶと報告しています。一方、国連PKO(平和維持活動)を調査したイギリスの大学教授は「過去10年間に国連職員によるレイプは6万件にのぼる恐れがあり、3300人の児童性愛者が国連機関に雇用されたと推定される」と告発をしています。さらに、90カ国以上で5,000人の職員と2万3,000人のボランティアが働いている国際NGOのオックスファム・インターナショナルの要員によるハイチ少女買春や南スーダンでのレイプ、パリを拠点とする国際医療支援団体国境なき医師団による性的嫌がらせや性的暴行など、弱者に対する犯罪行為が次々と明るみに出ています。
人道支援組織でこうした行為が繰り返される理由は、その構成員が救済の理念に共感して活動に携わるのではなく、ビジネスや私欲のために活動する人が多数存在することを物語っています。事実、オックスファム・インターナショナル元代表のニコラス・ストックトン氏は「慈善活動の市場はビッグビジネスだ」と語っているように、国際NGOは大企業と同じような営利事業の形態に変質しはじめています。原因は、世界中に紛争が相次いだため各国政府が救援活動の多くを国際NGOにアウトソーシングするようになったことで、国際NGOが多額の助成金を受け取るようになり、多額の報酬を得るようになったことにあります。さらに、外部による監査が全くないので、何をしても許される無法状態になっていることが挙げられます。
いまや、国際NGOはグローバル企業なみの1兆数千億ドル規模にまで拡大し、国際NGOの幹部の多くが高収入を得るようになりました。そして彼らは、こともあろうに非営利の慈善活動を金儲けと欲望のはけ口にし、汚職事件で逮捕者が出る事態にまで及んでいます。国際NGOのあり方はいかにあるべきか、ということを考え直す時期が来たのではないでしょうか。
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