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2018-04-24 00:00
米朝首脳会談で東アジア情勢は激変する
赤峰 和彦
自営業
日本の報道機関がゴシップメディア化している中、国際社会では北朝鮮をめぐる情勢やシリア問題で大きな動きを見せています。本年3月25日、北朝鮮の金正恩委員長が特別列車で中国を訪問し、中国の習近平主席と会談しました。中国としては実現の可能性の高いトランプ大統領と金正恩委員長との米朝会談の前に、北朝鮮に対する主導権を握っていることをアピールし、体面を取り繕うための演出です。一方、金正恩委員長にとって中国訪問は、経済制裁で食糧や石油が枯渇している現状を打破したかっただけのようです。つまり中国の面子と北朝鮮の実利という利害関係が一致して中朝首脳会談が行われたわけです。
日本のメディアは、首脳会談では「朝鮮半島の非核化実現に尽力する」ことが確認されたと報じていますが、しかし北朝鮮と中国の言う「非核化」とは「持っていることを隠す」という意味であって、恫喝の材料である核を手放すわけではありません。日本のメディアの多くはふだん日本政府や安倍政権を疑ってかかるのですが、こんなときは中国や北朝鮮の発表を何も疑いも無く丸呑みしているのです。米朝会談が実現する可能性は高く、紆余曲折はあっても最低限の合意に達する可能性が高いと思われます。なぜなら、アメリカにとって、実際には中国と敵対関係にある北朝鮮と一定の協定関係が結ばれれば、中国封じ込め戦略を優位に進めることができるからです。
野党の政治家やメディアは国際情勢が大きく変化するときに、「日本は蚊帳の外にある」とあたかも日本政府が国際社会から取り残されているかのように報じています。しかし、実際に蚊帳の外に置かれているのは、情報収集能力もなく、正確な情勢を見極められない野党政党やメディア機関そのものに他なりません。彼らは、安倍外交が実際にはトランプ外交に大きな影響を与えていることを知らず、国際情勢を浅薄な知識を基に見ているため外交政策の本質がわかりません。アメリカの最も重要な同盟国は、イスラエル、日本、英国の三カ国です。しかも、特にトランプ政権発足後は、東アジア戦略の要として日本の役割を最重視するだけでなく、日本の安全保障に対して特段の配慮を示すようになりました。
実際、4月17日からの安倍総理の訪米でも、5000万人にも上るフォロワーを抱えるトランプ氏のツイッターが、安倍総理のツイートをリツイートするほど、日米関係は安倍―トランプ間の親密な関係で担保されています。トランプ氏は、韓国と北朝鮮の対話の道が開かれたことには評価していますが、北朝鮮との裏取引を交渉のメインに据えた韓国の行為を信義にもとるものと捉えています。まもなく開催される米朝会談後、北朝鮮を取り巻く中国、ロシア、韓国の関係が大きく変化してくると思われます。これからの諸国間の関係は、従来の発想の延長線上にはありません。私たちは旧態依然の認識を持つメディアや評論家などの解説に惑わされることなく、またゴシップとスキャンダルだけを追い求めるメディアには距離を置き、冷静に物事を観察していかなければならないと思います。
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