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2018-05-18 00:00
危うい日中関係改善
四方 立夫
エコノミスト
5月9日の日中韓共同宣言に於いて”three countries share everlasting history and infinite future”が謳われ、拉致問題にも言及があった。日中首脳会談に於いては「海空連絡メカニズム」始動に正式合意し、一帯一路に関しアジアのインフラ整備で協力を進めるため官民協議体設置でも合意した。昨年秋の共産党大会以降、中国は急速に我が国に対し「微笑外交」を展開し始め、我が国経済界でもこれを歓迎する声が聞かれれるが、今回の日中首脳会議においても尖閣諸島を巡る問題、南シナ海における中国の軍事拠点化、などの安全保障問題は素通りされている。
現に尖閣諸島周辺における中国艦船による領海侵犯並びに接続水域への侵入は、「関係改善」にも関わらず従来と変わらないペースで進行しており予断を許さない。一方、トランプ政権は中国に対し通商法301条を適用し知的財産権侵害並びに対中投資企業への技術移転強要の防止等を強く迫っている。中国は「中国製造2025」に基き「中国の夢」の実現に不可欠な製造業の強化、特に技術革新能力の強化、に邁進している。
トランプ政権は貿易/投資も安全保障も”One Package”にして米国の利益のためだけに”Deal”をしようとしているが、知的財産権侵害及び技術移転の問題は本来G7が一丸となって中国と交渉すべき問題であり、さもないと中国による「分裂政策」に嵌り、現在の自由主義経済のルールを作りその最大の受益者である米国自身も結果的には損をすることになる。
我が国は、米国がTPPから離脱した後も自らリーダーシップを発揮してTPP11合意を達成し、更に日EU・EPAにも合意に達し、世界から自由貿易の守護者として期待されている。日本、EU、カナダ、オーストラリア、等が団結し、米国を巻き込んで自由主義の国々が一体となって中国と交渉するべきである。我が国も目先の中国巨大市長の利益に目を奪われることなく、中長期的視野に立って是々非々で中国との関係を構築することが肝要である。
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