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2018-05-25 00:00
日中「雪どけ」楽観せず知日派・知中派確保を
犀川 幸雄
学生
昨年秋の日中首脳会談以降、今月9日の李克強首相の訪日にいたるまで、日中関係は雪解けの方向に進んでいるかの印象があります。しかし、かつて「氷を砕く旅」と称された安倍首相の訪中(2006年)と、「氷をとかす旅」と称された温家宝首相(当時)の訪日(2007年)で、一旦は春を迎えたといわれた日中関係が、ものの数年で「氷河期」といわれるまでに悪化したことは、記憶に新しく、今回も楽観は禁物です。
そもそも今回の「雪どけ」は、中国の国内政治事情と、北東アジア情勢の激変によってもたらされた、一時的な現象であるという側面が強いといえます。中国国内では、本年3月の全国人民代表大会で国家主席の任期が撤廃され、習近平国家主席の権力基盤がより一層盤石になったことで、かつてほど国内での権力闘争の手段としての「反日」を前面に押し出す必要がなくなりました。さらに、朝鮮半島情勢が激変し、北朝鮮に接近した米国が、地域での影響力を強めています。その中で、中国として、米国をけん制しつつ、北朝鮮および東アジア全体に対し面子と影響力を維持したいとの思惑がでてきてもおかしくはありません。
そうした思惑の一環として、中国が、日本に接近するようになったと考えることは十分可能です。つまり、最近の日中関係の改善傾向は、北東アジアで生じた一連の動きのあくまで結果的であるということです。したがって、中国の国内事情と北東アジアの情勢如何によっては、日中関係がいつまた「氷河期」に突入しても不思議はありません。そうした不安定なバランスの上に現象化したこの「雪どけ」ですが、もちろん、こうした機運をみすみす逃し、関係を悪化させることは得策ではありません。
日本として、今なにより重要なのは、現在、北東アジアで展開されている冷徹なパワーゲームの動向を見極めつつ、中国の思惑に振り回されずに、日本としての地歩を固めることです。その一方で、日中両国間で、なにか問題が発生した時に、両国の橋渡しを担えるような知日派、知中派の確保に力を入れるべきです。こうした取り組みが車の両輪として機能してこそ、日中関係は真の安定を見るのではないでしょうか。
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