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2018-08-06 00:00
(連載1)五輪マラソンは猛暑避け富士山麓走れ
中村 仁
元全国紙記者
異常気象による猛暑、熱中症の死者の報道に連日接していると、2年後の東京五輪に重大な支障が出ないか心配になってきます。10月開催への変更を求める声も多く、「選手と観客に死のリスク」と、警鐘を鳴らす海外メディアもあります。今からでも再検討できる部分は変更したほういいと思います。スポーツ好きの友人が「NHKがこの問題を報道していた」と、連絡をくれました。私はうっかり見落としていたので、ネットでチェックしてみました。朝日、読売、毎日などの主要紙は東京5輪のオフィシャル・パートナーになっているせいか、「猛暑対策のため、マラソン(男子は8月9日)のスタート時間を7時半から7時に早めた」程度の無難な報道で済ませ、肝心な点には触れません。
開催時期を10月にずらすことは、2年後とはいえ、施設整備、選手の準備などで、実際には難しいでしょう。そこで工夫次第でやれる一例として、「マラソンコースを富士山麓に変更する」ことを提案します。都心よりずっと涼しいし、マラソンやサイクリングなど多くの種目で、山麓のコースをすでに使っています。マラソン以外でも、富士山麓周辺が適地の屋外スポーツはあるはずです。富士山はユネスコの世界遺産に登録されていますし、日本の最高の象徴であり、映像としても映えるはずです。ビルの日陰をたどりながらのマラソンなどは、ちまちまして、発想が貧困です。
私が懸念するのは、熱中症で選手や観客、ボランティアが続々と救急搬送されたりすると、「スポーツの祭典」どころでなくなる。西日本の集中豪雨のように、家屋の損壊、河川の氾濫、100人単位の死者がでて、政府が激甚災害の指定でもすれば、五輪中止もありえないではありません。「日本はとんでもない時期を選んでくれた」となることは、間違いありません。国の恥をさらす国際問題です。
環境省の指針では、「気温31度以上は危険、屋外運動は原則中止」とか。選手は並み外れた体力の持ち主にせよ、35度以上どころか40度近くまで気温が上昇したら、どうするのでしょうか。屋内競技はエアコンで調節できても、屋外競技には対策にも限界があります。プールの水温管理はどうしますか。猛暑の中では、選手も音を上げ新記録、好記録をあまり期待できないでしょう。(つづく)
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