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2007-06-14 00:00
人材養成競争:英語での教育の是非
鈴木智弘
信州大学経営大学院教授
中曽根内閣の留学生十万人構想を契機に、わが国の留学生が増加している。平成17年度の正規留学生(留学ビザ取得者)は、12万人強(就学、研修などは除く)となり、中国、韓国、台湾の3国(地域)出身者が80%を超え、学部・短大・高専(以下、「学部など」と記す)への留学は6万5千人程度、大学院が3万人程度である。学部などへの留学生は平成11年度までは2万5千人程度であったから、この数年で倍増している。これは、少子化で学生募集に苦労する私立大学(特に地方)などが中国人学生を急増させていることが原因であろう。
小論の本題である人材養成競争の観点で重要なことは、留学生の質、特に大学院レベルの問題である。大学院重点化の中で、大学院学生定員の充足が問題にされ、わが国のトップ大学でも中国人留学生が増加し、一部の研究室では、全学生が中国人留学生という例も珍しくなくなった。数年前まで東大、京大、一橋などわが国のトップ大学への大学院留学生は、北京大学、清華大学など中国のトップ大学の出身者が多数を占めていた。しかし、最近は、中国のトップ大学出身者は減少し、彼らの多くは米国に留学するようになり、わが国には、中国の三番手レベルの大学出身者が増加したと言われている。
その理由は、「日本に留学して日本語を習得しても報われない」ことである。国際ビジネスの共通語が英語になり、日本語の出番が少ないことも一因である。更に、日本企業がグローバル化していると言っても、本社経営陣あるいは、海外法人トップは、依然として日本人が圧倒的であり、現地人の登用は少ない。中国人学生にとって、昇進の可能性が低い日本企業の人気が低くなるのは当たり前である。
これらのことから、小学校での英語教育だけでなく、「大学院教育では英語を共通語とし、アジア諸国を中心に世界から人材を集めよう」という声が高まりつつある。INSEADもアジア系の学生を狙って、フランスの本校に加え、シンガポールに校舎を開設した。豪州のビジネス・スクールの学生は、中国人と韓国人が多数を占めている。わが国でも、駅前留学宜しく、日本人の教授と学生であっても、英語で授業を行うビジネス・スクールもあるが、ビジネスがグローバル化したからと言って、母国語を廃棄して、英語で授業を行うことは、どこまで必要であろうか?
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