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2018-09-13 00:00
(連載2)停滞が続く米朝交渉
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
その後、連邦下院外交委員会のスタッフ(海外援助予算、貿易政策、ヨーロッパ担当)、連邦上院外交委員会のスタッフ(1994-1998年)、首席スタッフ(1999-2000年)を務めました。共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領(在任:2001-2009年)が誕生すると、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)事務総長(2001-2003年)、国家安全保障問題担当大統領補佐官コンドリーザ・ライスの上級スタッフを務めました。ホワイトハウスでは国家安全保障会議の運営を取り仕切っていたそうです。その後は、連邦上院議員で共和党連邦上院院内総務を務めた、重鎮ビル・ファーストの国家安全保障問題担当アドヴァイザーを務め、フォード社の副社長に就任しました。ビーガンはアジアの専門家でもなく、国家安全保障問題を中心に活動してきたことを考えると、今回の人事は不思議な感じがします。
北朝鮮担当特別代表にはこれまで、韓国系、アジア系の人物が就いていました。今回ロシア専門家が就任したということは、北朝鮮問題をアジア系の人々の手から離して、新たな道筋を探そうとしているのではないかと考えられます。そして、ロシアを引き入れて、中国の北朝鮮に対する影響力を減少させ、相対的にアメリカの影響力を増大させようという考えがあるのではないかと思います。
更に言うと、ビーガンの前歴を考えると、ビーガンの特別代表就任は北朝鮮に対する圧力とも考えられます。これまでのように甘やかして下手(したて)には出ない、北朝鮮問題を国家安全保障上の専門家であり、かつ、非民主国家の民主化の専門家が、北朝鮮を国家安全保障上の問題として捉え、民主化のアプローチから交渉の場に立つ、というのは、北朝鮮からすれば「体制保障をもらっているのに、これでは話が違う」ということになります。更に、ビーガンがロシア専門家ということを考えると、ロシアの影響力を使おうというトランプ大統領の意図が感じられます。
米朝交渉が停滞気味のまま、中間選挙ということになると、北朝鮮に対する弱腰(appeasement toward North Korea)という形での批判が起こり、共和党内部からもトランプ大統領に対する批判が出て来てしまう可能性が考えられます。そうなると選挙戦は難しくなってしまうということになってしまいます。ですから、それまでに何とか形だけでもなんとか進展のようなものが見えるようにしたいということだろうと考えられます。(おわり)
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