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2018-11-15 00:00
北方領土と日ロ平和条約締結問題
橋本 宏
日本国際フォーラム顧問/元駐シンガポール大使
11月14日にシンガポールで行われた日ロ首脳会談について、今後日本では専門家を中心にいろいろな角度からの議論が行われることでしょう。恐らく日ロ両国政府は、話し合いの細部を公表しないでしょうから、識者の間の不安は募る一方、この問題を巡って国民的議論がどれほど盛り上がるものか、国民はかなり冷めた目で見ているのではないかと、危惧の念も生まれてきます。
このような状況で、歴史的事実として強く印象付けられることは、これまで62年にわたって関係者が多大な努力を払ってきたにもかかわらず、北方領土と日ロ平和条約締結の問題は、再び1956年の日ソ共同宣言の線にまで戻るということです。
日本人として心すべきは、我が国がアジア太平洋戦争への突入という、悔やんでも悔やみきれない誤った国策を遂行してしまったことです。この度の日ロ首脳会談は、いまだに我が国がここから生じた諸影響から離れることのできないことを改めて示すものです。明治150周年を機に、近代の歴史を振り返り、これからの日本の進むべき道について、広く議論が高まることが望まれます。
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