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2018-12-19 00:00
アメリカの良識、ブッシュ元大統領の死
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
ジョージ・H・ブッシュ(ブッシュ父)第41代アメリカ大統領は、11月30日にヒューストンで亡くなった。94歳の長寿だった。息子のジョージ・W・ブッシュ氏がクリントン氏を間に挟んで、2期8年間大統領を務め、同時多発テロやその後のイラク侵攻などの出来事もあったので、むしろ息子さんの印象の方が強い。
私はブッシュ父には2度ほど直接お会いしたことがある。最初は海部内閣の自民党外交部会長として、柿沢こうじ国防部会長とともに、日米首脳会談に同行した時であった。1991年4月と記憶している。当時は湾岸戦争が終結した直後で、日本の貢献が少なかったという米国内や世界の世論にどう対応すべきかが課題だった。大統領からは厳しい要求もあった反面、日本の憲法制約を必死で説いた海部総理の顔を立てる余裕も持ち合わせていた。
2回目はブッシュ父が日本を訪問して宮澤総理と会談した後、旧官邸大広間で晩餐会に呼ばれた時であった。1992年1月だったろうか。乾杯直後に大統領が脳貧血を起こして倒れるというハプニングがあったため、鮮明に覚えている。程なく快復され、大事に至らなかったことで胸をなでおろした。
いずれも大統領との面会はごく短時間だったが、周囲への気遣いを忘れぬ紳士であったことは間違いない。いくつかの評伝を読んでも、古き良きアメリカ共和党の良識を代表する人物の一人である。当時の共和党は、世界に目を向けて行動し、世界の秩序を構築することを使命としていた。ブッシュ父の印象と見事に重なり合う部分である。
それに引き換え、今のトランプ大統領はその真逆を突っ走っているように思う。パリ協定からの離脱、イラン核合意からの離脱、自由貿易体制との決別など、枚挙に暇がない。アメリカ一国主義、アメリカ・ファースト主義は、世界の秩序を乱すばかりでなく、アメリカ自身にとっても決して良いことではない。ブッシュ父の死をきっかけとして、アメリカの歯車が正常な方向に向かうことを、心から願わざるを得ない。
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