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2019-01-18 00:00
(連載1)問題は日韓関係ではなく韓国自身にある
松川 るい
参議院議員(自由民主党)
最近の朝鮮半島について述べたい。韓国の反日が留まるところを知らない状況になっていると、少なくとも日本人はそう受け止めている。日本人は寛容というかお人好しな民族だが、韓国についての怒りを通りこした冷めきった見方は既に定着してしまったと言える。一般の韓国人は反日でもなんでもないのに、本当に残念なことだ。上にいけばいくほどダメになるのが韓国の特徴だ。独りよがりな「正義」とやらで常に庶民を犠牲にしてきた。が、今、私が言いたいのは、問題は、日韓関係ではなく、韓国自身だということである。慰安婦財団解散、旭日旗、竹島上陸、また別格に深刻な「徴用工」(旧朝鮮半島出身労働者)判決と既にボトムかと思っていたところに、レーダー照射事件。さらには、ついに旧朝鮮半島出身労働者判決の差し押さえ決定。日本政府は請求権協定に基づく協議を要請したのに対し、韓国は、「日本が強硬な態度を取るせいで日韓関係が危機になっている」と責任転嫁しているが、盗人猛々しいとはこのことだろう。この調子ではまだまだ底なし沼に日韓関係は悪化しうる。このレーダー照射事件、攻撃準備行為とされる行為なので深刻な問題であることは間違いないが、それでも、本来なら、日韓軍当局同士で基本的に解決できる、つまり、事実関係を淡々と確認して謝罪すべきを謝罪すれば済む話ではないかと思う。しかし、既に日韓関係が不信の渦の中にあるのでそうはいかない。既にレーダー照射事件については、韓国から99%日本の映像を用いて(韓国独自の映像はほんの10秒)、お得意のBGM加工までした映像が出てきたが、ツッコミどころ満載である。が、この点については、既に多くの方が指摘されているのでわざわざここで繰り返すのはやめておく。ただ、今回改めて、韓国にとっては「真実は大して重要ではない」ということだけははっきりした。韓国の映像は低空飛行に論点をすり替えるもので、攻撃的なレーダー照射を韓国が行っていないことを何ら証明していない。
韓国軍のはねっかえりが反日に燃えてついやってしまった、のか、北朝鮮船を「救助」している行為自体を隠したかったのか、北朝鮮船の活動は本当にただの漁船なのかそれとも瀬取りなのか、または実は北の工作船なのか、といったことにより、事態の深刻度は全く異なる。が、いずれにせよ、攻撃準備に該当するレーダー照射など、どんな出来心があっても、中国やロシアましてや米国には絶対にやらないわけだから、日本なら何をしても許されるという甘えと驕り以外の何者でもないことだけは指摘しておきたい。さらにいえば、これをうやむやにしても日本なら許してくれると舐めているのだろう。または、明かされても困る事実(安保理制裁違反など)でもあるのか。韓国は、北朝鮮船が一体何をしていたのか、あの小さな漁船を「救助」するには不必要に大きいと思える海軍艦広開土王は一体何をしていたのか明らかにすべきだ。新日鉄も資産差し押さえ決定前に株売却しておけば良かっただろうに、と思う(保全措置かなにかあってできなかったのかもしれないが)。今後、同様の差し押さえ判決が相次ぐことは明白なので、まだ、訴えられていない日本企業も、その懸念があるなら、早急に韓国から資産を引き上げるべきである。実害を未然に防ぐという意味でも、韓国に対する事実上の制裁という意味でも意味があると思う。
しかし、私が今一番言いたいのは、ムンジェイン政権では無理、という一言である。というか、ムンジェイン政権自体かなり限界に近付いているように思う。任期を全うできるのだろうか。ムンジェイン政権の間は何をやっても無駄であり、早く退場してもらうに越したことはないが、日韓関係を何とかするのは次の政権(左派が継続するにしても)でしか無理であろう。日韓関係もボトムだが、むしろ問題なのは韓国自身である。韓国自体が危機に陥っている。そもそも、ムンジェイン政権はどれぐらい持つのだろうか。経済運営に失敗しており、経済状況は極めて悪い。外交的にも孤立している。南北ファーストをやりすぎたせいで米韓関係は冷え切っている。マティス長官の退任もあり、在韓米軍の撤退の可能性はずっと高くなっている。日韓関係はボトムである。THHADをめぐる三不政策以来改善したとはいえ中国との関係も大してよくない。頼みのというか、恋人になりたい北朝鮮からは、価値を値踏みされている。正直、米韓同盟が揺らいでいる中で、韓国が米国に対して有する影響力は減じており、北朝鮮からすればATMとしてはともかく、対米宣伝工作部としての韓国の価値は相当下がっており、対北政策もおそらく上手くいかないだろう。米国は韓国から頼まれたからといって「はいそうですか。韓国がそういうなら。」と動くような状況にない。知日派などは、殆どパージされるかその恐怖におびえている状況で、まともな国家運営をしていると思えない。よく韓国の宮廷ドラマがあるが、本当に、別に現代も全く変わらないじゃないかと思う。王様派と王様を追い落とすことを狙っている一派とが熾烈な権謀術策を繰り広げ、騙し騙され一族郎党皆殺しみたいなやつである。そして、何よりも、韓国人自身が韓国をあきらめている。移住を希望する韓国人の数はどんどん増加しているそうで、それは、愛国的な威勢の用意言動とは裏腹に、多くの韓国人が韓国という国の将来に希望が持てず、韓国に対してコミットメントを感じていないことを意味する。
ムンジェイン政権は、南北ファーストの政権だ。韓国ファーストですらない。というか、政権的には、強いていえば、南北連結ができることが韓国100年後の繁栄の道ということで韓国の国益と思ってやっているものと思う。つまり、短期的には韓国の国益が害されても良いと思っているとしか思えない。実は、韓国のかなり右の保守派の国会議員と数か月前に会った際に、彼らは、ムンジェイン大統領は意図的に韓国を弱体化して北朝鮮に差し出そうとしているという趣旨のことを述べていたのだが、私はそれはさすがにそんなことはあるまいと思っていた。しかし、最近はよくわからなくなってきた。なぜなら、結果として、韓国経済の弱体化、米韓関係の弱体化、日韓関係破綻寸前と、正直、喜ぶのは北朝鮮と中国という状況(中国すら喜ばないかもしれないが)になってきているからである。ムンジェイン政権は、(もし韓国主導で「統一」をしたいならということだが、)北朝鮮のことしか考えていない割には対北政策でも戦略的ミスを犯しているとしか思えない。北との融和を進めるためには、米国の理解が不可欠であり、良好な米韓関係が必要だ。同じく中国とも。そして、ATM役をやってもらいたい日本とも。こうした鍵となる大国が「韓国のいうことなら聞いてやろう」というムードであることが、韓国の対北外交のレバレッジなのだ。それなのに、ムンジェイン政権は、これら全ての国との間での外交に失敗している。つまり、結果として、対北レバレッジを減じている。もともと、米日中ロのいずれも国も、パワーバランス的には、南北が分断されたままでも別に構わない、というより、むしろそれで好都合と考えていたと思うが、ますます、そうなっていくだろう。そして、ムンジェイン政権のもう一つの野望は歴史の書き換えである。何が何でも韓国を「戦勝国」にしたいのだ。日本帝国の一部として米国や中国と戦ったのが事実である。残念ながら、内ゲバ続きで弱小の上海臨時政府など全く国際的に相手にされなかったのが事実である(だからサンフランシスコ平和条約当事国にはなれなかった)が、それは受け入れたくないのだ。韓国が日本と一度でもきちんと戦ったことがあったなら日韓関係はここまでこじれていない。レーダー照射した韓国軍人も日本に疑似的にでも「戦って」みたかったのだろうか。ブログにも書いたしTV番組でっも何度も言ってきたが、韓国の反日は日本と戦ったことがない、同じ土俵にたったことさえない、ということからくる。だから、今無理やり「戦って」いるわけだ。勝とうが負けようが、同じ土俵に立って戦ったなら、勝敗結果如何に関わらず和解は可能である。日米然り、米ベトナム然り、独仏しかり。しかし、日韓はそうではない。だから、韓国自身が、自分のトラウマを克服しない限り、反日は続くどこまでも。(つづく)
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