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2019-02-08 00:00
(連載2)中国の情報・通信支配は世界支配の道具
倉西 雅子
政治学者
しかしながら、この発言の裏を読みますと、‘弊社は、既に政府や共産党が入手したい顧客企業の情報を得ている’ことを意味しますし、‘不利益にならない形にすれば提供もあり得る’ことを暗に示しています。そして何よりも、‘顧客企業以外の公的機関、並びに、個人の情報であれば当局に提供する’と述べているに等しいのです。この弁明を以って、ファウエイに対する警戒感を解く人は皆無なことでしょう。
そして、この懸念は、同日に放送されたNHKスペシャル「アメリカvs.中国」によって疑いから確信へと変わります。同番組では中国の情報・通信分野における世界支配の野望を比較的客観的に描いていましたが、その中で、中国のスマホ配車アプリサービス、滴滴出行によるサービス事業の実態が紹介されていました。その舞台は、あろうことか日本国の大阪です。
同社はソフトバンクとの合弁で「DiDi モビリティジャパン」を設立し、2018年9月からタクシー配車の営業を開始しています。そして、同事業において収集されたあらゆる情報が北京のデータセンターに送られており、逐次、大画面においてチェックされているのです。タクシーの位置情報に留まらず、利用者の顔情報から車内での会話まで、様々な情報が収集されていることでしょう。
配車アプリといったプラットフォーム型のビジネスと情報収集が一体化している現実を目の当たりにすれば、誰もが中国製の情報通信機器の携帯や中国企業のサービスの利用に二の足を踏むはずです。そして、オーウェルの『1984年』よりもさらに発展した監視テクノロジーを駆使して国民を完璧に統制する国家が既に実在している恐ろしさを思い知らされるのです。隣国の魔の手が日本国にも及んでいるのですから、日本国への上陸を許した国土交通省をはじめ、中国系情報・通信サービス事業者、並びに、メーカーに対しては、安全保障や個人情報の保護といった公的観点から日本国内での事業許可を見直すべきではないかと思うのです。(おわり)
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