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2019-02-20 00:00
(連載2)嘘や不正が森羅万象に宿る時代
中村 仁
元全国紙記者
安倍政権はどうでしょうか。粉飾に近いのが財政健全化計画です。基礎的財政収支を26年度に黒字化するとしています。それができると信じている人はまずいません。前提となる経済見通しが甘く税収が高く見積もられている。名目成長率を3%前後としています。高成長だったバブル期以来、実現していない高い数字です。アベノミクスが成果をあげているというために、辻褄を合わせたのです。
厚労省の不正統計の話に戻れば、統計という地味な分野は職員数、予算を削られ、職員は連日の深夜勤務、残業で睡眠時間をですり減らしている。発端の毎月勤労統計では、全数調査すべきところを3分の1の事業所(東京の大企業の場合)しか調査を実施していなかった。それなら始めから抽出調査にし、倍数を掛けて全数に近づければいい。誰かがそれを認めなかったのでしょう。
そのうえ、安倍政権の官邸からは、働き方改革だの、待機児童の解消だの、外国人労働者の受け入れ拡大だのと、課題は矢のように飛んでくる。現場はへとへとなり、国会では野党の集中砲火を浴びる。叩きやすい、いじめやすところを狙い、得点を稼ごうとする。そうした連鎖があるのに、安倍政権は4月の地方統一選前には区切りをつけようと焦ったのか、生煮えの調査結果が提出され、それがまた国会、メディアから叩かれる。よくお目にかかる構図です。森友学園問題でも現場に責任を押し付け、官僚は文書改ざんに手染め、政治は官僚叩きを眺めるだけでした。
「森羅万象」広がるウソ、不正、虚偽の背景は様々でしょう。いくつか指摘すると、「かつては問題が起きても、経済が成長し、好景気の波で失態が埋め戻され、ばれないで済んだ。最近は、金融危機や世界的な成長鈍化で、失態が隠せなくなった」がまずあります。次に「内部告発が増え、第三者のチェックも厳しくなった」ですか。身内だけで処理してごまかすことは難しくなった。厚労省の場合は、「内部で不正に気付いても、ばれるまで口を割らない。ばれた時には不正が長期化ており、傷口は深くなっている」ということでしょう。「成長鈍化の中で、各国間の競争が激化し、政治的な動機、思惑が強まり、無理な政策を主導するようになった」という面もありましょう。この3、4年、フェーク(ニセ、虚偽)ニュースという言葉がはやっています。メディアや第三者が意図的に流すウソ情報です。それに対して、この1,2年は当事者が不正な行為をして、それが発覚する傾向が強まっているように思います。虚偽を見抜く力がますます要求されるようになってきました。(おわり)
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