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2019-04-15 00:00
コメディアンがウクライナ大統領に就任か
飯島 一孝
ジャーナリスト
ウクライナ大統領選の投票が3月31日行われ、コメディアンのゼレンスキー候補(41)がポロシェンコ現職大統領らを抑えてトップに立った。だが、得票の過半数には至らず、4月21日の決選投票に持ち越されることになった。このままの情勢が続くと、同国初のコメディアン大統領が誕生しそうな勢いだ。中央選管がまとめた得票率によると、ぜレンスキー候補が30・4%を獲得して1位を走っている。2位はポロシェンコ大統領(53)で17・8%、3位はティモシェンコ元首相(58)で14・2%の順。そのほか、ボイコ元副首相、グリチェンコ元国防相が僅差で追っている。注目のゼレンスキー候補は、ある教師が突然、大統領になるという筋書きのテレビ番組に出演、人気を博したコメディアンで、「ウクライナから汚職をなくすべきだ」と主張している。ウクライナでは、プーチン大統領の強引なクリミア半島編入政策で、ロシアとの内戦が続いている。
一方、政府高官らによる汚職がはびこり、経済は落ち込んだまま。そこに目をつけたコメディアンは「ロシアに対抗するため、欧米から多額の投資を呼び込もう」と訴え、支持が一気に拡大した。対するポロシェンコ大統領は、ロシアからのクリミア半島奪回を目指して、EU諸国と“ロシア包囲網”を画策しているが、ティモシェンコ候補ら反対勢力に足を引っ張られ、奪回作戦は進展していない。その上、ポロシェンコ大統領は経済政策もうまくいかず、支持率が低迷している。
決選投票はぜレンスキー候補とポロシェンコ大統領との一騎打ちになるが、ティモシェンコ候補、ボイコ元副首相らがどの候補の支持に回るかが今、最大の関心事だ。3位のティモシェンコ候補とポロシェンコ大統領は欧米との関係をめぐり対立していることから、2位と3位の共同戦線は難しそうだ。また、ゼレンスキー候補は既得権益層を象徴する財閥オーナーのコロモイスキー氏との関係を疑問視する見方もあり、ティモシェンコ候補らがゼレンスキー候補をすんなり支持するとも思えない。そうなると、2位、3位候補の2倍近い得票率で突っ走っているゼレンスキー候補がそのまま決選投票を勝ち抜く可能性も少なくない。だが、今後大統領との討論会が行われ、政治経験の不足を突かれて一気に失速する恐れもある。決選投票まで目を離せない状況が続きそうだ。
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