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2019-04-24 00:00
(連載1)消費増税延期の不規則発言の罪
中村 仁
元全国紙記者
10月1日に消費税を10%に引き上げることは消費税法で確定しています。何を思ったか萩生田・自民党幹事長代理が先送りをちらつかせました。「日銀短観(景気予測)によっては、景気を腰折れさせるわけにはいかない」という発言です。この時期にきての発言は、流通現場を混乱させていることでしょう。こんな発言は、百害あって一利なし。実務的に10%実施は、もう動かしようがない時期にきており、予定通りにやるしかない。なんでこのタイミングで妙な発言をしたか。参院選の対策が出遅れている野党のゆさぶりをかけ、浮足立たせる。狙いはそこでも発言の罪は重い。
首相の側近の発言ですし、「これまで二度も延期した。ひょっとしてまたあり得る」と受け取った業界関係者は少なくないはずです。政府が10月に向け、準備体制を整えるよう急げとはっぱをかけている最中に、首相側近による延期説で疑心暗鬼に陥り、流通現場では本当に準備が遅れてしまうかもしれない。財政に詳しい土居丈朗・慶大教授が実務的な面から「4月に入ってしまうと、10月1日の10%引き上げをもうずらせない」と、昨年末、指摘しているのを思いだしました。「商品の授受が10月以降になる契約であっても、契約を結ぶ場合、4月以降は新税率(10%)を適用しなければならない」と。
もう4月に入っていますから、10月以降に受け渡す約束の商品に税率10%を適用しているのもがすでにあるはずです。かりに新税率を延期したら、元の8%に戻す作業が必要で、作業は膨大です。土居教授はこんなことも指摘しています。「住宅の請負工事や、予約販売する書籍、通信販売などは、実施までに6か月を切っていると、新税率(10%)を適用しなければならない」。税務上のルールです。
新税率による契約がどんどん、進む。新税率を先送りしたいのなら「政府は3月末までに、新税率を延期する手続き(消費税法の改正)を完了していなければいけない」というのです。その期限はすでに過ぎていますから、10月実施を先送りするなら、年度途中の予算修正が必要になります。(つづく)
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