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2019-04-25 00:00
ウィキリークス創始者の逮捕
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジがイギリス警察に逮捕されました。アメリカの要請によって、イギリスの警察が代理で逮捕しました。アサンジは2012年からロンドンのエクアドル大使館に滞在する形になっていますが、政治的な亡命者ということでエクアドルが受け入れたのですが、エクアドルの大統領が代わり、アメリカとの関係改善(資金援助)を望む現大統領はアサンジの亡命者の資格を剥奪していました。大使館に警察が入るということは、その大使館からの要請がなければできないので、エクアドルがアメリカに引き渡したということになります。
ウィキリークスは機密情報の暴露という素晴らしい仕事で、人類に大きく貢献しました。犯罪者たちと同列に語るべきものではありません。アサンジ逮捕を喜ぶ人たちは、アメリカ政府に近い人間や、民主党エスタブリッシュメント派の支持者、そしてヒラリー・クリントンの支持者たちが多いということになります。この人たちからすれば、「私たちが応援するヒラリーから大統領の座を盗んだ」ということになって、ヒラリーとこうした人々は、アサンジを八つ裂きにしても飽き足らぬ奴と憎しみを駆り立てていました。
イギリスがアメリカに対して哀れなほど従属的であるということが今更驚くべきことでもないこととはいえ、ここまで尻尾を振らねばならないのかと思うと悲しくなりますが、「日本人には言われたくないよ」と向こうからは思われているでしょう。私が注目・応援している、大統領選挙民主党予備選挙候補者であるトゥルシー・ギャバ―ド連邦下院議員(ハワイ州選出、民主党)はアサンジ逮捕を非難しました。さすがです。2016年にヒラリーに露骨に肩入れする民主党全国委員会執行部の副委員長だったのですが、それに反対し、辞任してバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)を応援するという気概の持ち主です。
アサンジとウィキリークスがやっていることは、ジャーナリストのリーク情報を報道することと同じです。これに対して逮捕して裁判を受けさせて、おそらく長期に懲役を科す、数百年の懲役ということにして実質的に終身刑にしてしまうというのは報道の自由や知る権利を侵害する重大な人権侵害です。ヒラリーは祝杯を挙げているのかもしれません。しかし、その場所はホワイトハウスではありませんし、民主党に彼女のいるべき場所もありません。ウィキリークスが報復で、何か機密情報を公表するか、アサンジの生命を守るために動きを控えるのか、注目されます。
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