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2019-06-07 00:00
丸山穂高議員の「戦争」発言と日本における国際法の地位
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
丸山穂高議員の「戦争」発言が大問題になっているが、私が見たコメントの中では、自民党の石破茂・元幹事長だけが、国連憲章2条4項の武力行使禁止に言及した評価を書いていた。大変に適切な態度だと思ったので、私もコメントしておく。丸山議員の発言を、「憲法違反」として断ずるコメントが多い。しかし丸山議員の発言は、「憲法を変えて戦争ができる国にするしか北方領土は奪回できないと思いませんか」、という趣旨の質問だったようにも見える。「憲法を変えると戦争ができる国になる」という護憲派・野党系の主張を、そのまま使った考え方だ。
しかし憲法を変えたからといって、日本だけが戦争ができる国になることはない。他国と同様、国際法における武力行使禁止原則を守り続けなければならない。それでは国連から脱退したらどうなるかというと、憲章2条4項はすでに慣習法化していて一般国際法原則になっていると考えられるから、無駄だ。戦争は国際法違反である。
石破氏は、「(丸山議員)のような人が国家公務員として経産省に奉職し、国会議員を務めていたことにも驚きを禁じ得ません」と書いているが、私に言わせれば、こういう経歴の人が、一番の国際法音痴である。なぜなら公務員試験や司法試験を勉強した時代に、芦部信喜『憲法』のような憲法学通説を盲目的に信じてしまっているからである。「国際法では戦争が許されているが、憲法9条だけが戦争を否定している」などと、覚えこまされてしまっている。芦部『憲法』における似非国際法の記述で、国際法を知っていると主張する厄介な人々である。
それでも最近では公務員試験では国際法の比重が高まってきていると聞くが、司法試験では相変わらず選択率が1%ちょっとで、次の改革では廃止されるらしい。国際法学会が反対声明を出しているが、ニュースにはなっていないだろう。国際法については、日本では法律家・公務員(出身者)は信用できない、ということを、この機会に付記しておきたい。
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