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2019-06-12 00:00
(連載1)不可解な安倍首相の親中急旋回
倉西 雅子
政治学者
さる5月31日の日経新聞の朝刊一面に、日本国の安倍晋三首相が、第25回国際交流会議「アジアの未来」の晩餐会においてWTOを枠組みとしたデータ流通圏の構築を提唱したとする記事が掲載されておりました。加えて、同首相は、暗礁に乗り上げていたRCEP(東アジア地域包括的連携)の妥結をも呼びかけているそうです。WTOを枠組とすれば当然にその加盟国である中国も含まれますし、RCEPにおいて最大市場を擁するのも中国です。同首相の呼び掛けでは中国の国名には直接には触れていませんが、何れの提案も、中国に配慮したものであることは確かなようです。
同首相の親中提案は、つい数日前に国賓として訪日したトランプ大統領との親交を温めた点に思い至りますと理解に苦しみます。トランプ政権は対中貿易戦争の手を緩めず、一向に振り上げた拳を降ろす気配はないのですから。訪日に際しては、日米貿易交渉について深入りは避けておりますので、対中政策についても踏み込んだ要請はなかったのでしょうが、同大統領は、同盟国である日本国に対して対中結束を呼びかける立場にあります。
仮に、マスメディアが報じるように、同大統領の訪日が日米関係をなお一層強化し、首脳同士の親密さを増したならば、同大統領離日後の安倍首相の態度は、トランプ大統領の意向を汲んで反中に傾斜するはずです。中国との経済関係を見直しこそすれ、データ流通圏や自由貿易圏に中国を含めるといった提案はあり得なかったはずです。ところが、現実はその逆であり、WTOやRCEPといった国際的な枠組みを隠れ蓑にして、アメリカが構築してきた中国包囲網を融解させかねないリスキーな提案を行っているのです。
一体、安倍首相の親中急旋回は、どのように理解すべきなのでしょうか。情報が不足しているため、確かなことは言えないのですが、幾つかの推論を述べて見ますと、以下のようになります。第1の推論は、マスメディアの見解とは違い、トランプ大統領の訪日は、日米の距離を拡げてしまったとするものです。華々しい報道の裏側で、政治・経済の何れか、あるいは、両面において、両国の間で決定的な対立が生まれた可能性も否定はできません。(つづく)
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