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2019-06-13 00:00
(連載2)不可解な安倍首相の親中急旋回
倉西 雅子
政治学者
例えば、対日要求の厳しさを前に、日本製品の輸出先としての米国市場を諦めざるを得なくなり、‘敵の敵は味方’の感覚から中国にシフトしたと言うものです。もっとも、アメリカの対日要求が苛烈を極めたとしても、暴力主義国家である中国に接近する必然性はなく、安倍首相の中国シフトはより危険な選択とも言えましょう。
第2の推論は、トランプ大統領から安倍首相に対し、中国に‘逃げ道’を用意するように依頼されたとする説です。この推論では、米中貿易戦争は同大統領の選挙戦略上の演出、あるいは、政治ショーに過ぎず、本心では、中国を追い詰めるどころか、同国の経済圏や勢力圏拡大に協力していることとなります。RCEPは、事実上の‘中華経済圏’となる可能性が高く、WTOにおいてデータ流通のルールを策定しようとすれば、中国が主導する‘チャイナ・ルール’となるかもしれないのですから。アメリカとしては表立ってはできないことを日本に代替してもらうというのが第2の推論です。
これらの二つの推論は、報道と現実との間のギャップを前提としていますが、トランプ大統領の訪日よる日米関係の緊密化に危機感を募らせた中国、あるいは、中国中心の広域経済圏を構築したい国際勢力が、日本国内のあらゆる人脈や工作網を駆使して安倍首相を親中側に引き寄せた、というのが第3の推論です。同推論が成立するには、一国の政策を変えさせるほどの相当規模の対日工作網が日本国内で既に形成されている必要があります。つまり、日本国の独立性が脅かされている可能性も否定はできないのです。
以上に三つの主要な推論は、何れも日本国にとりまして望ましいものではありません。国民の多くも、手の裏を返したような親中急旋回には首を傾げることでしょうから、説明責任を果たす上でも、米中対立の中での親米と親中という相矛盾する政策の追求について、安倍首相は、国民が納得するような丁寧な説明をなすべきではないでしょうか。国民に説明ができないようであれば、ますます国民の政治不信が強まるのではないかと思うのです。(おわり)
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