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2019-06-21 00:00
(連載2)レベルアップした日米関係
松川 るい
参議院議員(自由民主党)
対照的なのが韓国のムン・ジェイン大統領である。全く、トランプ大統領に相手にされていない、つまり、ムン・ジェイン大統領を通じて何か米国にお願いしても、ムン・ジェイン大統領がそういうのだったら聞いてあげよう、とトランプ大統領が思うという関係になく、外交的レバレッジがない状況である。米国に対するレバレッジを持たないことが、そのまま、北朝鮮からも「韓国は使えない」と足元を見られることになっているし、中国からも、韓国は圧力をかければこちらになびくだろうと思われることになっている。実際、韓国は、米中双方の顔色を窺いファーウェイについての態度を決めかねているが、米中冷戦の深刻さをわかっているのだろうか。
ファーウェイは、米国にとっては経済問題ではない、これは覇権、生存戦略に関わる問題だ。トランプ大統領が訪韓するのももしかしたら、ファーウェイはじめ中国に関する態度につき物申したいということなのかもしれない。確かに韓国経済における半導体や携帯関連産業は大きいので気持ちはわかるが、米韓同盟が揺らぐことは、韓国が中、露、北朝鮮という非情な国の間にあって、独りぼっちで自国を守ろうという徒手空拳にならないかと懸念する。そこに日本との関係は最悪ときているる。とはいえ、日本にとっては、韓国に対しては、本来言うべきことを全部言い、なすべきことをなすチャンスともいえる。かつてなら韓国に対して配慮せよという力が日本国内でも働いたと思うが、今ならそのような圧力は国内にない。
唯一というわけではないかもしれないが、米国にべったりで大丈夫か、米国の戦略に無理やり巻き込まれるのではないか、といういわゆる「巻き込まれ」に対する懸念は正当な指摘だと思う。これは、明確なポジションを取る場合に常に付きまとう危険だ。けれど、私には、米中の覇権争いは、明確にポジションも決めずに上手く両者の間を立ち回ることができるほど緩やかなものではないと思うし、また、イランに対する対応やTPP11を日本独自で米国を置いて作ったこと、日米同盟とインド太平洋戦略にコミットしながら対中関係を改善してきたことなど、日本外交は、米国との信頼関係を維持しながら独自性のある外交を展開できるように成熟してきたように思う。
そして、畢竟、最終的にどのような世界になれば良いと思っているのか、ということなのだろうと思う。河合正弘日本国際フォーラム上席研究員/東京大学特任教授によれば、2050年においても、中国は米国・EUという西側所得の経済規模を上回ることはできない、中国は日本に対して領土的野心があるが米国はない、米国は自由民主主義国だが中国はそうではない(集団エリート指導体制の下の監視国家)。このことを考えても、日本にとっては、米国が覇権を持つ世界の方が日本にとって住みやすい世界であるように思う。(おわり)
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