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2019-06-24 00:00
日本の東アジア外交に主体性はあるか
荒木 和博
拓殖大学教授・特定失踪者問題調査会代表
中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問したのだそうです。何をしにいったのかよく分かりませんが、「お前、ちゃんと言うことを聞くんだろうな」との念押しでしょうか。おそらく金正恩を世界で最も嫌っているのは中国共産党指導部でしょうから、恫喝が目的なのかも知れません。一方、6者協議をしている国の北朝鮮以外の5カ国で、唯一、金正恩との首脳会談をしていないのが日本です。最近、安倍訪朝の噂が流れており、参院選前ではないかとの話もありますが、「他の皆が会ってるし、こっちも会っておこうか」ということであれば最初から結果は目に見えています。
話を中朝関係に戻すと、朝鮮半島問題は、中国にとっては鬼門で、朝鮮半島に介入することがきっかけで中国大陸の王朝はたびたび衰退していきました。北朝鮮を捨てれば習近平政権は国内の敵から「売国奴」と言われるし、介入すれば日米との関係を悪化させかねません。しかし北朝鮮の体制に何かが起きれば中国は現在北朝鮮の持っている核兵器をどうしても管理しようとするでしょう。そのためには当然、ある程度の兵員を投入せざるを得ないはずです。これに台湾問題や南シナ海・東シナ海の問題がからんできます。連鎖的な不利益が起きるのを何とか食い止めたい、そのための平壌訪問かも知れません。
他方、香港の「逃亡犯条例」問題は一旦民衆側の勝利ということになったようです。今後はまだ予断を許しませんが、中国共産党としては「民衆に屈した」という結果になれば、国内外の様々なところで反共産党のドミノが起きることを最も恐れていると思います。情報を徹底して統制しているのはその恐怖の裏返しでしょう。
このように、中国だけでも様々な要因の中で朝鮮半島を取り扱わなければなりません。これに東アジアは日米韓とロシアも絡むわけですから、「他がどう動くか」を推測していてもほとんど意味はないと思います。結局こちらから東アジアのとりあえずの向かうべき道を提示して、それに周りを巻き込んでいく努力が必要ではないでしょうか。かなりしんどいことですが、それ以外の選択肢はないように思います。
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