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2019-07-09 00:00
消費者庁10年の評価
船田 元
衆議院議員(自由民主党)
2009年9月に発足した消費者庁も、今年で10年という節目を迎えた。設置のための特別委員会の委員長として法案の成立に関わり、その後自民党消費者問題調査会長を6年余続けて来たので、実に感無量の思いである。霞が関では最も若い官庁であり、まだまだ発展途上にあるが、各地での消費者相談や消費者被害の防止、エシカル消費などの普及啓発、若年者への消費者教育の徹底、個人情報保護法の活用、公益通報制度の改良など、数多くの任務を抱えている。最近成立した食品ロス削減推進法の所管官庁にもなった。
これまでの霞が関行政は、ほとんどが生産者あるいは事業者の視点からの施策だったが、消費者庁は消費者の視点への転換を目指すとともに、消費者の安全のためタテ割り行政に横串を刺すことを目指している。これまでの霞が関の慣例や常識を打ち破る役割を担わされたと言っても過言ではない。これまでの働きは100点満点とまではいかないが、相当頑張って及第点は取れたのではないか。
このような消費者庁に3年前、ひとつの危機が訪れた。まち・ひと・しごと創生戦略の目玉として、中央省庁の地方移転が議題となり、消費者庁をはじめ6つの庁と1つの局が移転の対象となった。特に消費者庁については、徳島県の飯泉知事が大変熱心に誘致活動を行っていた。しかし発足後間もない役所であり、被害防止に強制力のある迅速な対応をするには、企業の本社が集中する東京に本部がなければならない。また他省庁との調整も力の弱い役所が頑張るためには、膝詰めで行う必要があり、徳島への全面移転は諦めてもらうしかなかった。
しかし一方で、「新未来創造オフィス」を徳島に設置して、消費者施策の全国展開の前に、徳島を実証フィールドとして活用し、のちに全国展開させることとした。とても良い取り組みとして評価が高く、現在では消費者教育を徳島圏内の全ての高校で実施し、地域の見守りネットワークや働き方改革にも、徳島県庁の全面的協力を得ながら挑戦している。3年後の見直しの時期が来たが、消費者庁そのものの「オフィス」の成果を強調するとともに、その役割の拡充を図ることで意見の集約を見た。更に期待に応えられるよう、予算措置や制度改善など環境の整備に努めたい。
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