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2019-07-29 00:00
(連載1)今次参院選の結果をふりかえって
加藤 成一
元弁護士
7月21日の参議院選の結果、自公で改選124議席の過半数63議席を超える71議席を獲得した。この結果はやはり自公政権の「勝利」と言えよう。ただ、参議院選の勝敗を左右するとされた東北地方など全国32の参議院一人区で自民党は10敗した。上記32の一人区はすべて野党統一候補を相手にした闘いであったが、今後の野党共闘の進展次第では、自公政権にとって必ずしも予断を許さないと言えよう。本来、比較的農家が多い、いわゆる「農業県」である32の参議院一人区は、長年にわたって自民党の堅固な支持地盤とされてきた。しかし、自民党は、前回2016年の32の参議院一人区でも11敗しており、この傾向は今回の参議院選でも示されたのである。
自民党安倍政権は、アベノミクス第3の矢の「成長戦略」の一つとして農政改革に取り組み、農業分野の規制緩和、農協の改革、農地の集積、農産品の輸出促進、農業の国際競争力強化策等を強力に推進してきた。その結果、農産品の輸出量が飛躍的に拡大し、平成30年の農産品輸出額は9000億円にも達した。安倍政権の大きな功績であると言えよう。しかし、反面、農業人口の減少と高齢化、耕地面積減少と耕作放棄地の増加などは深刻であり、生産量減少、価格低下、資材価格上昇などによる農業所得、特に稲作農家の所得は減少傾向にある。
さらに、TPP11による農畜産業への影響も軽視できない。このため安倍政権の農政を評価しない有権者が7割にも達している(2019年4月26日付け『日本農業新聞』調査)。このような背景が、一人区の「農業県」における「自民党離れ」をもたらし、32の参議院一人区10敗の重要な原因になったと言えよう。したがって、自民党安倍政権としては、上記の「農政改革」は引き続き強力に推進すべきであるが、個々の農家の所得を向上させるための政策も極めて重要である。
最も有効な政策は、自民党政権による「経営所得安定対策制度」(旧民主党の農業者個別所得補償制度)の一層の拡充であろう。これは農産物の生産費と販売価格との差額を交付金で補償する制度であるが、欧米諸国でも広く行われている。なぜなら、工業生産とは異なり、農業生産では耕作地面積が限定されているうえに、天候等の自然現象にも大きく左右され、労働生産性の向上が容易ではないからである。全国の多くの農業者は個別所得補償制度の拡充を切望している。自民党によるこの制度の拡充は、農業者の所得を向上させるものであるから、今後、32の参議院一人区での農業者の自民党支持を拡大させ、野党各党にとっては大きな打撃となるであろう。(つづく)
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