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2019-08-30 00:00
(連載3)文在寅は韓国をどこに連れていくのか
松川 るい
参議院議員(自由民主党)
文在寅大統領は、「左のトランプ」ともいうべき存在であり、決して侮ってはいけない。北朝鮮からミサイルを連射されようと、ひどい言説で貶められようと、全くぶれることなく一貫して南北融和(南北統一)を進めようとしてきた。最近になって、北朝鮮が韓国に対して「米朝に勝手にしゃしゃり出てくるな」といった厳しい言説を繰り広げているのは、北朝鮮が南主導の半島統一を嫌悪しているからだろう。GSOMIA破棄も、日米韓協力の綻びや米韓同盟の弱体化につながるという意味では、北朝鮮は大歓迎であろうが、韓国の南北統一コールには複雑な気持ちだろう。
金正恩委員長はリアリストである。「民族の夢」などよりも、北朝鮮、というより金王朝の存続の方が大事だ。無論、北主導の統一ならウェルカムだが、南北融和は行き過ぎると諸刃の剣だとわかっているのだ。北朝鮮国民が豊かな韓国と自由に行き来できるようになったら、どのようなことが起こるかわからない。北朝鮮からすれば、核兵器やミサイルを温存したまま米国との関係を正常化し、金王朝と北朝鮮の安全と経済的繁栄を実現することが優先事項なのだ。韓国の存在価値は、短期的には、この金正恩のアジェンダにどう貢献できるかという観点から測られるに過ぎない。
戦後74年、世界は冷戦、米国一極集中の時代(パックス・アメリカーナ)を経て、中国の台頭により米中角逐というか米中冷戦に入った。世界的にみても、米中関係、香港情勢、イランを巡る情勢、北朝鮮の核問題、英国のEU離脱など、国際社会の潮流を変えるような大きな動きが目白押しだ。過去の「力の時代」に回帰したように思う。そのような中で、日韓関係は、65年の国家間関係開始以来、はじめてといっても良い次元の違うレベルの危機に直面しており、関係そのものが大きな再調整のプロセスに入った。文在寅大統領という特異な革命家の大統領の存在自体が要因の一つではあるが、日本側も、もはや韓国を韓国であるという理由だけで特別扱いすることは止めたということが大きい。
今後日本はどうすべきか。いろいろ頭をよぎるが、考えあぐねていて、これという具体的提案はまだできない。それは、ひとえに短期的な関係改善策が中長期体な方向性を変えることになるかどうか自信がないからだ。つまり、直近でいえば、最悪の事態を避けるためには、文在寅大統領が来年の国会議員選挙で大勝利するような事態は是非さけるべきである。したがって、文大統領が支持率アップに使えそうな材料を与えることは止めた方が良い。そのことだけを考えた場合にやるべきことと、中長期的に韓国がどこに向かうかを想定した場合に取るべき行動とが同じかどうかわからないということである。(おわり)
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