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2019-09-17 00:00
(連載1)他国も受入可能な「平和な国際環境」を
牛島 薫
非営利団体職員
9月7-8日付けの韓前偉氏の本欄への投稿「中国の現代化に必要な平和な国際環境」を大変興味深く拝読した。我々日本人が、こうした中国人の真正面からの主張に接する機会は決して多くはない。韓氏の見解は、おそらく中国人の率直な世界観を表したものではないだろうか。意欲的な中国人学生の日本語での情報発信に敬意を表したい。その上で、同氏の論稿について、いくつか気づきの点があるので、以下、述べてみたい。
まず、韓氏の論考には、「平和国際環境」という言葉が何度も登場する。それが、一般的日本人が想定するような、第二次大戦後の構築された「平和で安定した国際社会」であれば、それは「既存」のものであり、「維持」あるいは「発展」させるべき対象となる。だが、同氏のいう「平和国際環境」は「作る」「構築」「必要」といった言葉とセットで用いられている。つまり、中国からみると現在の国際社会は、いまだ「平和」ではないから、「平和国際環境」はこれから新たに作り上げるべき対象ということか。そう考えれば、中国の対外的行動にある一貫した拡大志向も、「自国にとっての安全圏」を確保したいという不安の表れとみることも不可能ではない。
黒船来航以降の日本も、同様の不安の中で安全圏を確保しようと徐々に拡大志向を強めた。日本はその後、歴史的な破綻を喫したわけだが、それに対して中国は、韓氏が述べるように、西洋世界への真正面からの挑戦を自制してきたことは事実だ。その代わりに、中央集権的な指導体制と巨大な人口を活かして国力の増強に邁進してきた。そのような、「100年マラソン」とも言われる、中国の絶え間ない努力と一貫性には尊敬すべきものがある。
本来なら、地理的にも近い日本が、こうした中国と緊密な関係を構築し、共に歩もうとすることは日本の国益に適いそうなものだ。だが、現実にはそうはなっていない。むしろ日本は、米国との同盟を組んで、中国の動きに一定の警戒心をもって接している。その理由は簡単である。つまり、中国のいう「平和国際環境」が日本の希求する「平和で安定した国際社会」とは異なるからである。(つづく)
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