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2019-10-07 00:00
(連載1)米中貿易戦争は日本の対岸の火事にあらず
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
昨年の7月以降、米中両国間では、関税の引き上げ合戦となっている。2018年の7、8、9月で一気に関税の掛け合いを行い、米中貿易戦争は激化した。2019年5月にアメリカは、中国からの輸入品2000億ドル分に対する関税を10%を25%に引き上げる決定を行った。他方、2019年6月にはこんどは中国が、アメリカからの輸入品600億ドル分に対する関税を10%を25%に引き上げる決定を行った。アメリカが中国からの輸入品2500億ドル分に対して関税25%をかけ、中国はアメリカからの輸入品1100億ドル分に関税25%をかけている状況だ。
アメリカの中国からの輸入はだいたい5500億ドル分あり、トランプ大統領は2500億ドル分を差し引いた3000億ドル分に対しても関税をかける、もしくは引き上げる決定を行った。いまのところ、その発動は延期されている。一方、中国のアメリカからの輸入はだいたい1200億ドルあり、もう関税をかける余地はほぼ残されていない。目一杯関税をかけている状況だ。
このような状況下では相互の輸出入は減る。しかし、アメリカが対中で輸入が輸出を上回り、中国が対米で輸出が輸入を上回る状況は変わっていない。そうなればアメリカの対中貿易赤字が積み上がるだけだ。アメリカの製造業は復活するだろうかと言うと、人件費などのコストがかかるので難しいと私は考える。
アメリカ国民にとっては、中国製品が安く手に入らず実質的には増税と同じ負担が生じる。もちろん、アメリカ政府に入る関税による収入は増えるが、輸入量が減れば税収も落ち、本末転倒だ。そうなれば、アメリカ国民、特に低収入のアメリカ国民にとっては物価が上がっただけのことで、しかも質の悪いアメリカ製品を買わねばならないということになれば、生活レベルの低下を強いられることになる。政府にとっても国民個々にとっても、財政・家計上の利点がない。(つづく)
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