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2019-10-30 00:00
(連載2)日本の対イスラム圏外交の可能性
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
その上、欧米諸国は、中東の豊富な資源を狙って様々な工作を行ってきた歴史的な背景があり、武力で既存の非人道的な政権を崩壊させても、それを理由に現地の人々が民主主義を喜んで受け入れるほど単純には解釈されない。そのように考えた場合、アラブの春や湾岸戦争が残した価値観はどのように消化されたのかが非常に大きな要素になる。なぜならば、革命的な体制変化には揺り戻しが来るからである。
フランス革命で世界史の画期をなしたフランスでも、そのまま一直線に現在の制度に向かったわけではない。フランスは、帝国制と共和制を行ったり来たりし、ルイ十六世がギロチンで処刑台の露に消えた後もナポレオン、ナポレオン三世と、皇帝が出てきている。同様に、イスラムへの民主主義の定着も力によって簡単に確立されるようなものではないだろう。
さて、日本はどのようにするのか。日本は中東やアラブ地域の地下資源に依存している。考え方はいくつかある。アメリカと一緒になって民主化を求める。または、同じ民主化を求めるにしても、何か別な方法で平和的に説得する。あるいは、中国のように経済的に罠を仕掛けて絡め取る。幸か不幸か日本は外交力が低く、アメリカや中国のような強烈な個性や軍事力を背景にした交渉を行っていない。それが返って、イランの場合には仲介役に入るのには好都合だった。
それを踏まえれば、日本独特のスタンスの使い所というものをよく研究、検討することが、我が国の外交成果を最大限発揮するのには非常に重要になってくる。こういうことに思いを巡らすにつけ、国会でスキャンダルを追及している議員たちにこれらの情報が入っていない、入っていても彼らにはリソースを割く気がないと思うと、これで日本の立法府はよいのだろうかとおもう。(おわり)
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