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2019-11-11 00:00
(連載1)米軍のバグダディ急襲が意味すること
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
先月末、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、アメリカ軍特殊部隊がシリア北部を急襲し、イスラミック・ステイト(ISIS)指導者アブー・バクール・アル=バグダディを自爆に追い込み、死亡を確認したと発表した。アメリカをはじめ関係諸国が行方を追っていたバグダディであったが、シリア北部で米軍特殊部隊に追い詰められ、最後は洞窟の中で自分の子供3人と共に自爆をするに至った。ISISは、2014年からシリアとイラクの一部を占領・実効支配し、それの樹立を宣言した。
その後、ISISは、その創設者にして指導者のバグダディの指導のもと、一時は国家と言っても過言ではない一大勢力を築き上げ、中東やアフリカ、はてはアジア圏にも共鳴したり忠誠を誓ったりするテロリスト集団が数多く生まれるなど絶大な影響力を発揮した。そのカリスマの殺害が大きなニュースとなったのは言うまでもない。このニュースに、バラク・オバマ政権下の2011年、テロ組織アルカイーダの指導者オサマ・ビンラディンがパキスタンの潜伏先で同じく米軍特殊部隊の急襲を受けて殺害されたことを想起した人も多いだろう。
今回も米軍特殊部隊の作戦によってビンラディンのようにバクダディが殺害されたことは、多くの同じような立場の組織の指導者に衝撃を与えたに違いない。気にかかるのは、「バクダディが自爆した」ということだ。あるべきプロセスに乗せるのならば、バグダディに関しては身柄を拘束して裁判を受けさせる(国際法廷になるか、シリアやイラクの法廷になるかは分からない)べきであった。しかし、バグダディは自爆したと発表されている。そのまま受け取って良いものだろうか。
もし、アメリカ軍特殊部隊の攻撃意図が降伏への誘導ではなく、自爆に誘い込むことにあったとするならば問題である。また、米軍特殊部隊はバグダディに付き従った人間たちを「多数」殺害したが、急襲を受けた人間が直ちに死を賭して徹底抗戦するかという点も疑問だ。もしも、降伏や投降の意思を示した者までも殺害したならばそれもまた問題といえるだろう。私はISISの肩を持たない。しかし、「正義をくだす」ためにはそれなりの手続きが重要であって、そこに瑕疵があれば正義とは言えなくなる危険性が高いことは、強調しておきたい。ただ殺害すれば済むという問題ではない。(つづく)
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