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2019-11-28 00:00
(連載1)英総選挙に国民投票の意義を考える
牛島 薫
非営利団体職員
英議会総選挙が12月12日に実施される。選挙の争点は、ブレグジット、すなわち英国のEU離脱だ。これは、2016年キャメロン政権のときに一度国民投票で決した話で、それをもう一度国民に問うというのは外野からすれば道理が通らないと感じる話なのだが、それでもなお行うというのはそれだけイギリスの政局は行き詰まっていることを意味している。
イギリスではEU離脱が否定されるだろうと高をくくって国民投票を行ったキャメロン氏が辞め、あとを継いだメイ氏は離脱のために奔走したが徒労感の中で辞任した。そして今回、ブレグジットの象徴の一人とも言うべきボリス・ジョンソン氏が首相となってEU離脱合意をしたが議会に否決されたのがここまでの流れだ。3人とも与党保守党の政治家だが、キャメロン・メイ両氏がEU残留派だった一方で、ジョンソン氏は離脱派である。ジョンソン首相の合意案も結局議会を通らなかったため、結局総選挙で決着を付けるしかないということになったわけである。
今回の選挙では、与党保守党は離脱派、野党労働党は残留派である。ちなみに、少数政党については、ブレグジット党は名前の通りで、自由民主党は残留派だ。とはいえ、実際には主要2党は一致団結しているわけではなく内部に離脱派と残留派をそれぞれ抱え、それぞれが力を持っていることはメイ氏が首相になったことからもわかるだろう。その時点から離脱を決した国民投票の結果を都合が悪いと考え、なんとか無力化したいと考えている議員が多くいたのだ。ゆえに、今回の総選挙を前にして、保守党はEU残留に拘り離脱合意案に賛同しない議員を候補から排除したことは、非常に意味のあることだろう。
もう一方の労働党はジェレミー・コービン氏が党首に就いたことで、より社会主義的傾向を強めている。エネルギーや鉄道などの公益性の高い企業の公有化や富裕層増税など労働党の名に相応しい左旋回をしているわけだが、中道寄りが定着してきた以前の労働党をよしとする層にとっては過激に映りかねず、EU残留派の国民も投票行動がどうなるかは予断を許さないところだ。また、左派ということで労働党の支持者には低所得者層に多いのだが、そういう国民ほどEUを離脱したがる傾向があることがわかっており、選対の悩みは深いものになるだろう。(つづく)
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