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2019-11-29 00:00
(連載2)英総選挙に国民投票の意義を考える
牛島 薫
非営利団体職員
さて、英国は長く二大政党制だが近年その傾向が崩れ始め、上でも少し触れたが他に2つの有力政党が出てきている。それがブレグジット党と自由民主党だが、これらはEU離脱に関して保守党と労働党よりも極端な政策を取っているのが特徴だ。ブレグジット党は党それ自体よりもファラージ氏のほうが有名かもしれない。国民投票でEU離脱が決まった際に狂喜乱舞した姿が日本でも大きく報道されポピュリストの典型例として挙げられるようになった人物だ。そのブレグジット党は保守党と選挙区を住み分ける方針のため、離脱派の有権者が分散することはないだろう。
そして注目すべきは自由民主党である。ブレグジットに断固反対し、かつ国民投票に関しては触れておらず2016年の国民投票も考慮していないところが面白い。これは労働党が「2度目の国民投票」を主張していることとは対照的である。要するに、労働党は新しい国民投票で前回の国民投票を無力化するスタンスであるのに対して、自由民主党はそもそも国民投票については無視するというスタンスなのだ。自由民主党のこの大胆な姿勢について英国民はどう捉えるのだろうか。
一方、労働党についても、2回目で1回目を打ち消せるのなら、2回目を3回目で打ち消してもOKということになり、国民投票の意義が問われるのではないかという素朴な疑問が生じてしまう。英国民が最終的にEU離脱をめぐりどのような決断を下すかが大テーマだが、英国民が国民投票という制度そのものをどう受け止めるのかもみていきたい。
日本でもつい最近、国会で議論が深まらずに国民投票法改正案の審議が流れたばかりだ。日本の現行国民投票法は憲法改正プロセスとしての国民投票しか認めていないが、英国のEU離脱に見られるように国民投票の対象をより広くとる制度を採用する例が多く見られ、今後の議論によっては日本においても憲法以外の重要議案を問う国民投票もありうる。日本人は英国の今回の事例を踏まえつつ、国民投票制度の制度・運用や意義についてよく見て考えるべきであろう。今回の総選挙では英国民の関心がEU離脱の是非に集中することは疑うべくもないが、国民投票のありかたについてどう考えるのか、英国民の判断を待ちたい。(おわり)
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