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2019-12-05 00:00
共産党は改憲後にも立憲主義を語れるか
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
11月27日、私はe-論壇『百花斉放』に「世界の人権問題ぐらい、左右は大同団結できないのか」と題する論考を寄せた。他国の人権侵害をめぐる問題に憂慮の念を示すのに、国内政治における左右の立場の違いは関係がないはずだ、という趣旨で書いた。自民党の中には、憂慮を表明する勢力があるのだから、野党側が黙っているというのはおかしいのではないか、という趣旨であった。正確を期するために言っておけば、共産党は、中国における人権侵害の実情に憂慮する声明を11月14日に出していた。立憲民主党は代表談話を11月21日に出した。礼儀の問題として、私としてもそのことについて触れておきたい。
現在進行中の「桜を見る会」の話題については、もともと調査をして問題提起をしたのは、共産党の田村智子議員であったが、現在は、共産党以外の野党の政治家たちのほうが騒いでいる印象がある。ともあれ、いわゆる調査能力において、共産党が支持政党層をこえて高く評価されていることは、周知の通りである。テリー伊藤氏が執筆した『お笑い革命日本共産党』(1994年)という本を読んだことがある。テリー伊藤氏が、冷戦が終焉したときこそ、最も注目すべき躍進が期待される政党は共産党だ、という主張をされていたと記憶している。テリー伊藤氏の主張(もともと少しおどけたトーンが含まれていたわけだが)は、必ずしも現実のものになったとは言えない。しかし共産党が依然として日本の国政で独特の存在感を持っていることは、否定できない。
日本共産党の歴史には、裏話としてしか語られない様々な暗部がある。「代々木」と呼ばれていた時代を体感として知っている世代には、特にそうだろう。鉄の結束のようなものを感じさせる反面、個人プレーがなく、長期にわたる同一党首の君臨とスター議員の不在が、構造的な問題ではある。最近では、政党交付金拒絶の伝統を、『赤旗』購読者激減の時代の中で、どう維持していくか、と言った問題に直面しているとも言われる。だが何といってももったいないのは、共産党の独特な外交政策観だ。共産党は今の外交政策を固守する限り、国政において少数政党を抜け出すことは出来ない。しかしひとたび改憲がなされてしまったら、どうだろうか。自衛隊の合憲性のみならず、日米安保体制の合憲性も明確になる改憲がなされてしまったら、どうだろうか。
共産党も、改憲の暁には、新憲法に従うしかないのではないのだろうか。その時は、共産党にも新しい時代が訪れ、国政に新しい構図がもたらされるだろう。かつて、私は立憲民主党が政権担当能力のある政党に成熟するためには本来改憲議論に前向きである枝野幸男代表がキーマンになると述べたが、残念ながら今は改憲案を立憲民主党で提示するような状況にはない。せめて野党勢力は、軍国主義を防ぎたいというのであれば、国際法による自衛権の制約をよく勉強していただいたうえで、むやみに改憲反対だけを唱えないことが得策だと思う。
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