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2019-12-18 00:00
ロシアとウクライナの年内完全停戦合意:両国はどこまで本気か
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシアとウクライナの紛争は、2014年以来、6年越しとなっているが、12月9日にパリで開かれたロシア、ウクライナ、仏、独の4カ国首脳による和平協議で年内の完全停戦で合意した。今春就任したウクライナのゼレンスキー大統領が紛争解決に積極的になり、プーチン大統領も話し合い路線に歩み寄ったため、2015年の停戦合意の実現に向け、再び動き出した。だが、最大の焦点だった親露派地域での地方選挙の実施で合意できなかったため、早急な全面解決は望めそうもない。
ロシアとウクライナはスラブ民族同士で、元々兄弟のような関係だった。特に、ウクライナに石油資源がないこともあって、石油の豊富なロシアと協調していかなければ、国家が成り立たない状態だった。ところが、ソ連崩壊で兄弟関係の”重し”が消え、対等な立場になってから紛争が起きるようになった。その渦中に、ロシアがソ連時代にウクライナ領に入ったクリミヤ半島を取り返すべく、住民投票を実施し、それを受けてロシア領への編入を強行した。さらに、ウクライナ東部で親露派武装勢力がドネツク州などの自治体庁舎を占拠し、ウクライナ軍との戦闘に発展した。
両国の緊張緩和が始まったのは、欧州との統合を急ぐ親欧米派のポロシェンコ・ウクライナ大統領が、今年4月の大統領選でコメディアン出身のゼレンスキー氏に敗れたのがきっかけだった。ゼレンスキー政権はロシアとの協調を図ろうと話し合い路線に転換、プーチン政権に働きかけてきた。そして、ウクライナは9月、お互いが拘束してきた兵士や政治犯の交換を提案、実現させた。さらに、ウクライナ東部の前線で一部兵力の撤退が進み、ロシアなど3カ国との首脳会談実現にこぎつけた。
最大の課題である親露派地域での地方選挙は、2015年の停戦合意に基づくもので、これらの地域で「公正な選挙」が実施されたと確認されれば、その地域に「特別な地位」を与えるというものだ。だが、ウクライナ国内では、親露派に特別な地位を与えることへの反対が依然根強い。さらに、選挙実施前にゼレンスキー政権は武装組織やロシア軍の紛争地域からの退去を求めているため、文字通りの完全停戦が簡単に実現する状況ではない。両国は今後4ヶ月以内に協議再開を目指すことになるが、事態が打開できるかどうかは双方がどれほど歩み寄れるかにかかっている。両国大統領の本気度が問われる展開となりそうだ。
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