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2020-01-23 00:00
(連載2)米イラン対立にみる日本のリスク分散の必要性
松川 るい
参議院議員
トランプ政権の対イラン政策については「イラン核合意」破棄からして全く賛同できない。この合意は、2015年にイランと英米仏独中ロとの間で結ばれた国際合意で、イランが濃縮度3.67%超のウランを少なくとも15年間製造せず、貯蔵量も300キロ以下とするなど核関連活動を制限する引き換えに欧米が経済制裁を解除することを決めたものだ。核兵器製造に用いるためには90%の濃縮が必要であり、イランが核合意を遵守している限り核兵器製造はできない。
イランはIAEAの査察も受け入れながら核合意は遵守してきた。この流れを踏まえれば、時間稼ぎでも数十年に及ぶのなら一定の評価はすべきではなかったか。だいたい、イランが一体どれほどの米国の脅威だというのだろう。名前や体裁は適当に変えても良いが、「核合意」的なもの以外に着地点はないように思う。とにかく、トランプ政権によるこの合意の破棄は、イランを核開発に近づけただけだ。
イランは今や300キロの制限も守らず、20%の濃縮を行うと宣言している。そして、ソレイマニ司令官殺害という愚策によってイラクまでも反米的になった。中国に割くべき米国のエネルギーが中東に取られてしまうことは、日本にとってだけでなく、世界にとっても多大なマイナスである。今後、イランが対外的にどのような道を選ぶのかはわからないが、イランは意外と民主的な国だ。イランの体制はイラン国民の大半がどう思うかにかかっている。対する米国は、短期的にはトランプ大統領の本来の意図に反して軍を増派するかもしれないが、しかし、長期的にいえば、きわめて面倒な状況を自ら作り出したことにより中東からどんどん手を引いていくことになると思う。
日本もいい加減中東依存度を減らすことに真剣になるべきだ。自己の生存のためには、不安定な地域や国への依存度はできるだけ減らし、リスク分散をしてくことが重要である。それは中東のみならず朝鮮半島しかり、中国しかりである。そして、日本にとって相対的に信頼できる国地域との連携を主にしたエコシステムを作ることである。(おわり)
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