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2007-08-10 00:00
たかが相撲、されど相撲!ーー相撲が日蒙関係にもたらす影
太田正利
元駐南アフリカ大使
朝青龍のビヘーヴィアの問題。相撲協会もこの度は我慢し得るところではなく、敢えて処罰に処した。日本国内でも「当然だ」「重過ぎる」等などまさに評論華やかというところ。他方、「力士はサッカーをしてはいけないのか」「どんな悪さをしたのか」「外国人の横綱に日本人の記録を更新させるなということか」など、事情を知らないモンゴル人が叫ぶという事実は重要だ。反日とまではいかないにせよ、現在の友好な両国関係に水をさすことになりかねない。モンゴルは中国の後背地にあり、それだけで中国を牽制している。さらに北はロシアに接する。地政学上、この国はわが国にとって大切な国であることを意識すべきである。
それで、日本としての説明如何。先ず地方巡業とはなにか。そもそも相撲は本場所として、東京、大阪、名古屋、北九州等で年6場所行われる。その他、地方巡業といって、その他の地方で相撲興行をするが、力士がこれに加わるのはまさに「本務」である。朝青龍は、骨折その他整形外科上の疾患のため今回の巡業に参加できないと協会に届け出ていた。したがってその届出の内容に沿って休業するのは何ら問題ない。ただ、師匠に相談なくモンゴルに行き、その上如何なる理由があろうが、相撲がとれない程の疾患と称するものをかかえながら「サッカー」に参加し、元気な姿を日本全体に放映されるに及び、流石の日本人も堪忍袋の緒が切れたというのも実情である。
もう一つ重要なことだが、日本の相撲とは単なるスポーツや格闘技ではない。記憶に誤りがなければ、サルコジ大統領が昔日本の相撲につき「退屈なスポーツ」と評したようだが、これは大きな誤解。相撲はまさに「神事」である。朝青龍は今までもこの精神に悖る行為が多々見られた。筆者はこの方面の専門家ではないが、両手を広げて相手に示し、土俵に塩をばらまき、また「横綱」の意味等など、日本人でも大半は分からないことを、今回朝青龍問題に敏感に反応しているモンゴル人をはじめ外国人がわからないのは当たり前である。筆者が言いたいのは、かかる事情を然るべき外国語――英語・仏語プラス(問題関連国の言葉、この場合には)モンゴル語で反論又は事情説明を行うべきである。「従軍慰安婦」、「南京大虐殺」等についても同様である。さもないと誤解された日本像が世界に定着し、著しく国益が害される。
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