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2020-02-19 00:00
(連載1)日英関係強化は「インド太平洋」構想の視点で
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
1月31日に遂にイギリスがEUから脱退した。移行期間があるので、影響はすぐには現れない。だがこれからいよいよブレグジットの余波が具体的に立ち現れてくる。これとの関連で日本では「日英同盟」復活論が盛んだ。事実として、EU域外諸国との連携を積極的に模索しているイギリスは、その対象として日本への関心を強めている。経済面のみならず、安全保障面でも、イギリスからの強力なアプローチが行われている。
日本がこれに反対する理由はない。離脱の余波を見極めながらになるが、欧州における特別なパートナーとしてイギリスを位置付けていくべきだろう。ただし、この「日英同盟」が、1902年に締結された実際の条約に基づく概念だとすれば、言うまでもなくこの「日英同盟」の復活などありえない。多くの事柄が当時とは異なっているからだ。そもそも、今のイギリスと当時の大英帝国の国家としての有り様が、全く違っている。当時の大英帝国は、領土を東南アジアにも展開する「アジアの大国」でもあった。極めて素朴な地理的環境から、極東におけるロシアの南進を懸念する国家は、日本の次には大英帝国だったことが、1902年の日英同盟の背景にあったのである。
現在のイギリスに、そのようなレベルでの東アジアに対する関心はない。それは日本にヨーロッパに対する関心が乏しいのと同じだ。よって、いわゆる「日英同盟」復活論とは、日本がアメリカとともに、オーストラリアやインドを主要パートナーとして推進しようとしている「インド太平洋」構想の強化を意味するはずだ。
イギリスは、現在でもインド洋の島嶼部に海外領土を持っている。地中海東端でトルコとギリシャが係争を抱えるキプロス島に軍事基地を持ち、国連PKOにも小規模ながら長期間派兵することで影響力を保っている。地中海西端が大西洋と接合するジブラルタルを、スペイン王位継承戦争後の1713年ユトレヒト条約以降、保持し続けている。(つづく)
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