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2020-02-27 00:00
(連載2)いま改めてカルロス・ゴーンの密出国を考える
山崎 正晴
危機管理コンサルタント
これらの国では、亡命や脱走は重罪で、もし失敗して捕まれば死刑か収容所送り、もしくは、その場で射殺される。そのような中で、世界各国の多くの個人や団体が、法の目をかいくぐって亡命者達を助けてきた。ナチスドイツによる迫害から逃れてきたユダヤ人6千人を助けるために、外務省の訓令を無視して、ビザを発給し続けた杉原千畝もその中の一人だ。
一部の先進諸国を除けば、世界の多くの国で、警察や司法が権力者の私利私欲追求の道具となっている。このような国でビジネスを行っている人が、ビジネスパートナーや取引先から不当な理由で告発され、収監されると、待っているのは糞尿垂れ流しのような劣悪な衛生環境と拷問だ。まともな神経の持ち主では1日も持たない。そこで、やむなく、やってもいない罪を認め、高額な罰金の支払いや資産没収の憂き目を見ることになる。もし、私のクライアントの現地駐在員がこのような国で告発され、召喚状を受け取ったら、クライアントへの私の助言は「緊急出国」になるだろう。運が良ければ、空港に手配が回る前に出国出来るかも知れない。もし、すでに手配が回っている場合には、「別な手段」を考えることになる。
我々リスポンス・コンサルタントにとっての「善」「悪」は、必ずしも「合法」か「違法」かではない。悪が支配する国で、何の抵抗もせずに悪のシステムに乗せられていくほど我々はお人好ではないし、クライアントにもそれを望まない。我々の究極の倫理基準は「自己の良心」だ。しかし、ビジネスや国際政治の世界では、「良心に従った行動」を自己満足で終わらせる訳にはいかない。
そこで必要となるのが「世論の支持」だ。今カルロス・ゴーンが一生懸命頑張っているのが、「国際世論の支持獲得キャンペーン」だ。その成否は彼の努力と運次第だが、彼のやっていることは、国際社会で生き抜く者にとってはごく当たり前の行為だ。では、日本政府は、日本人はその必死に生き残り策をとるゴーン氏にどう対処し、国際社会にどう向き合うのか。違法かどうかではなく、危機管理の点から考えるべきだ。(おわり)
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