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2020-03-03 00:00
国民の「お客様意識」が政府・国会を弛ませる
荒木 和博
拓殖大学教授
れいわ新選組の山本太郎代表が新型肺炎(COVID-19)を防ぐために国会を休会にすべきと主張したことが話題になっています。確かに「不要不急の会合」を自粛するということであれば国会もその対象になるかも知れません。しかし、この程度のことで休会にするべきというのは国会議員が責任を放棄したのと変わりません。「国権の最高機関」ということは責任も最高というべきであって、それを認識してもらわなければ国民はたまりません。小泉環境大臣が育児休暇を取ると言ったときも正直呆れましたが、まあ考えてみれば与野党含めてこんなものなのかなとも思います。
20代のころ、国会の中を歩いていると国会議員は自民党から共産党まで、後ろから見ても何となくオーラのようなものを感じました。もちろん自分が若かったこともあるでしょうが、戦争の時代をくぐり抜けた世代だからこそのものがあったのだと思います。当時の国会議員に感染症で国会を休会にするとか、大臣が育児休暇などといったら笑って相手にされなかったでしょう。
考えてみれば衆参の拉致問題対策特別委員会も年1~2度開かれるだけで、そこで与野党の議員がご家族に質問するのは「政府に何を望みますか」といったことばかりです。そもそも拉致問題について見識のある議員は委員の中でも半分もいないでしょう。何度もそういうのを見てきたので、一度冒頭の陳述のとき「ともかく質問でご家族に『政府に望むことは』とか『今のお気持ちは』などと聞かないで下さい」と申し上げたことがあります。それでも「政府に望むことは」と聞いてきた議員はいました。おそらく他に聞くことがなかったのでしょう。残念ながら、これが日本の国会議員の実態です。もちろん、外から見えにくいところで地味な仕事を一所懸命やっている議員さんも少なからずいるので、やみくもに否定するつもりはありませんが、今のままでいけばさらにシステムが形骸化し、用をなさなくなると思います。
国会の中でそれに気付いている人もいるでしょうが、中からは変えられません。まず私たち国民が「お上」(国会のみならずそれによって構成される内閣-政府も含め)に任せておけば良いという、一種の「お客様意識」を棄てなければならないと思います。拉致問題についても「安倍さんだから任せておけば大丈夫」と思っている人はもうさすがに少数派だと思いますが、ともかく私たちが動かなければ政府を動かすこともできません。
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