ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2020-03-04 00:00
(連載2)日本の「レピュテーション・コスト」を考えよ
松川 るい
参議院議員
日本を「緩い国」と認識させる理由となっているもう一つが水際対策の不徹底である。米国や豪州やロシアやシンガポールなどが軒並み中国全土を入国拒否対象とする中、世界で2番目の感染者数がありながら未だに入国拒否対象は湖北省と浙江省に限定されているのは理解できない。対中配慮とビジネスに対する配慮かもしれないが、短期的には損失を減らせたと思っても、「日本は対策がなっていないので安全ではない」と思われることのコストは、結局、観光客が来なくなるにとどまらず、ひいてはオリパラ開催が危ぶまれることにつながる。そうなれば、経済的損失も日本の国際的評価も数か月の我慢とは比べ物にならないマグニチュードになってしまうだろう。日本は東京オリパラ開催国である。オリパラ前に、日本政府は新型コロナに果断に適切に対処しており事態はアンダーコントロールだと「世界が」認識するようにイメージが転換させなければならない。そうでないと、本当に、東京オリパラの開催が危ぶまれるだろう。
それでは、日本に対する評価をいかにして変えるか。中国全土入国拒否だが、人道的な理由(家族の交流)とかビジネス上どうしても必要な場合などは例外的に許可するといった体制を組めばいい。そして、発表自体は、基本「中国全土を入国拒否対象」として対外発信することだ。だいぶ印象も変わるだろう。
加藤大臣は、先ほど、「感染拡大を防ぐためには、今が重要な時期」と正しい指摘をし、「開催の必要性を改めて検討してもらう」ように要請した。が、「一律の自粛要請を行うものではない。」とわざわざ言う必要があったのだろうか。マスコミは「一律の自主規制を行うものではない」という部分だけ強調して報道している。これでは、また、日本は本当に危機意識がないな、と誤解されないか心配だ。むしろ、「基本的には〇〇人規模以上の集会は自粛してもらいたい。しかし、どうしても開催する場合は以下以下と言った諸点に気を付けてもらいたい」ぐらいネガポジ入れ替えた発表の仕方にすれば良かったように思う。
今回の新型肺炎が日本経済に与える影響が本当に心配だ。終息までどれぐらいかかるかわからないが、テレワーク、遠隔診療、面談のオンライン化、ビデオ会議システムなどあらゆる手段を用いて、不要な接触を減らすことは必要だ。この1,2か月これ以上ないぐらい厳しい措置を取るべきだ。要件は加えても良いが、一定規模集会の一律自粛は早く決めた方がいいと思う。そうでないと日本に対して向けられている世界の見方は変わらない。日本が「緩い国」「危機に対して適切なコントロールが取れない国」と思われるリスクは何も感染症に限らないと思う。テロだってサイバーだって安全保障だって根幹は同じことだ、最悪の事態を想定して果断な措置を取れるかどうかということなのだから。危機意識がないこと以上に、「危機意識がないと見られること」がリスクなのだ。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
公益財団法人
日本国際フォーラム