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2020-03-25 00:00
再々論 危機こそチャンス:中東諸国とのパートナーシップの構築へ
四方 立夫
エコノミスト
原油価格が急落している。過去に於いては、2000年代半ばからは原油価格は上昇を続け2008年7月には145ドルを突破したが、2008年後半には40ドルを割り込むまで急落し、翌年8月には70ドルを超える水準まで回復するという乱高下を記録している。いずれも原油の需給を反映したものではなく投機によるものに他ならない。
昨年トランプ大統領は「米国は最大の原油生産国となり輸出国でもある、中東産原油は必要ない」とまで言い切ったが、それを支える米国のシェール関連事業は2019年巨額の損失を計上し、今後も原油価格が60ドルを上回らない限り更に損失を膨らませ、撤退する企業も多発するものと推察される。中東湾岸諸国の原油は世界の他の原油と比較しても生産コストの面でも品質の面でも優れている。例えば、ベネズエラが世界最大の原油埋蔵量を誇りながらも巨額の赤字に苦しんでいるのは、その原油の粘度が高く熟練のエンジニアでなければ思うように採掘できず、且つコストが高いことにある。中東の中でもサウジアラビアは原油採掘コストが10ドル以下と言われており他国と比較して最も価格競争力があり、その品質もエネルギー源としてのみならず石油化学の原料として大変優れている。「ビジョン2030」に於いて石油化学分野の裾野を大きく広げダウンストリームに展開していくことがその成功の重要な要素である。
第一次オイル・ショック以降、我が国の中東に対する外交は「油乞い外交」と揶揄されることが間々あったが、長期的には原油・ガスのエネルギー源としての需要は減少傾向にあることから、今後は石油化学のダウンストリームに幅広く事業を展開し、合成繊維、合成ゴム、合成樹脂、など今や人間の生活に必要不可欠な分野に展開すると共に、更に「環境に優しい石油化学」の発展に向けて技術、資金、人材、等に於ける協力関係を構築する好機である。
また、中東に豊富にある太陽光を十二分に活用し、日本の発電コストの1/4と見積もられる太陽光発電を大規模に展開すべきである。その安価な電力を活用した水の電気分解による水素の生産を開始し、それを我が国のみならずアジア諸国に供給することにより、燃料電池車、水素発電、などのCO2を排出しないパリ協定に沿ったクリーンな新規事業を立ち上げることができる。我が国の生産/輸送技術、貿易ノウハウ、市場開拓、などの実力を存分に発揮する好機である。今回のコロナウィルス騒ぎを中東諸国とのパートナーシップ構築の為の奇貨としたい。
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