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2007-08-17 00:00
北朝鮮への軽水炉支援に協力せよ
吉田康彦
大阪経済法科大学客員教授
北朝鮮は核廃棄の見返りとして、米国によるテロ支援国家認定解除ならびに米朝平和条約締結を通しての米朝国交正常化に加えて、軽水炉供与を要求している。軽水炉問題は何ら目新しいものではなく、クリントン政権下の94年の「枠組み合意」でコンバスチオン・エンジニアリング社製加圧水型改良炉(いわゆる「韓国型」軽水炉)2基の供与が決まり、東海岸の琴湖で建設が進められていたところへ、ブッシュ政権が北のウラン濃縮計画を暴露して「枠組み合意」破棄に持ち込み、建設が中断して今日に至っているものだ。
「枠組み合意」を破棄したのが北朝鮮ではなく、米側であることは合意の条文をよく読めばわかる。当時ABC(Anything But Clinton)政策を進めるブッシュ政権としては、理由が何であれ、クリントン政権が進めた「枠組み合意」を破棄したかったのだ。軽水炉の建設費は、韓国が4分の3、日本が4分の1を負担、完工までのつなぎのエネルギー源として米国が毎年重油50万トン提供というのが「枠組み合意」にもとづく了解で、そのためにKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)が創設され、日韓両国は、総工費47億ドルのうち、すでに3分の1以上の16億ドルを出資ずみだった。
こうした背景から、韓国政府は最近、「軽水炉事業支援白書」を発表し、新しい合意にもとづく建設再開に向けての根回しを始めた。国民に対する説明責任からしても当然である。12億ドルもの出費がこのままドブに捨てた形になって放棄されることは許されない。軽水炉供与で北の核放棄、朝鮮半島非核化が実現するなら、当然、建設再開すべきだ。
ひるがえって日本はどうか。4億ドル(480億円)が国民の税金からすでに支出されているにもかかわらず、国民に対し何の説明も行われていない。軽水炉支援は南北双方への協力でもある。日韓共同で建設再開を提案し、北京の6カ国協議前進のために貢献すべきであろう。安倍内閣の対北強硬策が破綻していることはもはや疑う余地はない。拉致問題解決に向けての展望は全くなく、米朝は今や蜜月関係だ。日朝国交正常化を進め、対北支援事業に協力しながら拉致問題も忘れずに追及し続けること以外に日本にとっての選択肢は残されていない。
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