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2020-04-02 00:00
(連載2)コロナ緊急事態:政府の本気度は如何?
葛飾 西山
元教員・フリーライター
これが危機管理の大原則ではないか。1月に中国の武漢で新型コロナウイルスが蔓延し、またクルーズ船が横浜に着岸してから、一体どれだけの時間が過ぎただろう。その間、先手を打った対応はなされてきていない。中国では初動の遅れの責任は免れられないが、その後は李克強首相の指揮のもと、人民解放軍を動員して果断な対応を取った。台湾も国際的支援の無い中で迅速な検査・隔離で感染者数を抑えきったことが国際的に評価されている。
それを見て日本も自衛隊の医療部隊に即応体制の準備などを期待していたが、そのような動きはなかった。医療機器の不足も運用を一括管理下に置いて、大量に必要な都市に振り分けるというような対応が取られているのかも定かではない。先日、慶應義塾大学の岸教授が米国に比べて財政出動の少なさと対応のあまりの遅さを指摘していた。振り返れば、海外からの検査機器の提供の申し出にも、何か色々な理由をつけて結局断った。こうした状況に対しては何か思惑(例えばオリンピック前における東京の安全性のアピールなど)があったのではとの疑念を持たざるを得ない。もし本当なら内閣総辞職級の過ちだ。
ただでさえ日本は各方面の合議・了解の積み上げを重視する政治的体質である。みなの同意は得られるが、始動までに時間がかかり、かつ責任の所在も曖昧になる。官僚は二の足を踏む政府に忖度をする。国民は国民で「政治はお上が行うもの」という意識があり、決定を政府に依存し、政府が危険と判断しなければ安全だと錯覚する。例えば、教育の世界だと、文部科学省は以後の休校措置を取らないとしながら、「状況を見て現場で判断を」と言う。現場は現場で上から何も指示がないので平常どおりの行動をする。これではまるで1億総無責任社会ではないか。
英国ではジョンソン首相、チャールズ皇太子らが罹患し、エリザベス女王のお付も陽性であることが判明した。今後、日本政府や宮内庁職員・皇族に発症者が出ない保証はない。そうなってから政府はどうするつもりなのか。政治家自身も発症してすぐに落命するかもしれない状況で、自らの政治生命よりも国民・住民の生命を重視する指導者を求めることにそもそも無理があるのであろうか。少なくとも我々日本国民はこの環境の中で生きるという現実を、直視しなければならない。(おわり)
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