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2020-05-08 00:00
(連載1)COVID-19下の教育をいかに立て直すべきか
葛飾 西山
元教員・フリーライター
COVID-19の流行により、日本の公立学校が休校になってはや3ヶ月になろうとしている。緊急事態宣言は5月末までとなっているが、状況によってはそれよりも前に解除される可能性も留保されている。学校現場では6月からの再開を前提に年間計画を組み直している真っ最中である。こうした教育の現場をめぐっては、一層のこと、この機会に9月入学に切り替えるべきとの意見も出され、賛成論、反対論ともにかまびすしい議論が展開されている。またネット環境を使った遠隔授業についても、そのメリット、デメリットが徐々に議論されてきている。
この一連の議論の中で、日本ならではの問題点も浮上してきているように感じる。それは、仕組みの議論が行われるものの、これから現実となる教育現場での本当の困難さを棚に上げた議論がなされているということである。すでに3学期の半分と新学年1学期の半分が吹っ飛んだ状態である。これをいかにフォローするかで現場の先生は頭を悩ましている。私も現場の社会科教員の経験があるが、習熟度別クラス編成がなされている高校と異なり、中学校、小学校は様々な学力の子で1つのクラスが構成されている。成績最上位の児童・生徒はこのような状況下でも勉強を進めているであろうが、問題は中堅から学力遅滞層までの層である。
学力中堅層や学力遅滞層にとって、学習内容は学校で初めて教わる者が多い。この層に対して授業が丁寧に行われなければ、学校の教室での授業は内容的に崩壊する。今まででも、授業進行が予定より遅れてしまった場合は、年度末に駆け込みで授業を飛ばし、「○ページから○ページは試験に出すので教科書をよく読んでおいてください」という禁じ手を使った経験のある先生は私も含めて多いのではないか。通常なら新学年の新学期に生徒の理解度を確認しながら復習と称してフォローすることも可能であった。しかし今年度は吹っ飛んだ新学期の学習範囲も丁寧にフォローしなければならない。家庭学習に委ねていても避けては通れない。まして教室で一斉授業もできない。
授業内容も焦る気持ちを押さえてゆっくり目に定着を確認しなければならない。カリキュラムに追いつくために急いだ授業をすると、ほぼすべての生徒にとっては上滑りの授業になる。そうすると、とてもじゃないが、今年度中にカリキュラムを終えることは絶望的とも感じられる。現場の先生も実のところそう感じているのではないか。ここで一切議論の俎上に上がっていないことを提言させてもらえば、9月入学でも4月入学維持でも良いが、教育の中身を組み直すことが必要だということである。(つづく)
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