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2007-08-21 00:00
安倍首相訪印を控えたインドメディアの論評
岡本幸治
大阪国際大学名誉教授
安倍首相は本日8月21日、インドネシアからデリー入りする。インドは独立以来西欧型の議会制民主主義を採用してきたので、言論・報道の自由は重視されており、中国は勿論他のアジア諸国に比べても、メディアに表現される言論の質は高い。特に知識層を対象とした週刊誌に勝れたものが多いといえる。その一つ「OUTLOOK」(代表的な独立系週刊誌)8月27日号(発売は8月中旬)では安倍訪印を前にして特集を組み、安倍首相や榎駐インド大使へのインタビュー記事などを掲載しているが、ここではシーマ・シロイの”The Sake is warming”に見られる評論の中で、経済関係や過去の日印関係など日本のメディアが既に扱っているようなこと、扱いそうなことは省き、あまり扱いたがらない軍事がらみの視点のみを紹介することとしよう。要点以下の通り。
安倍の訪印は短いが、今年4月の印日米海軍演習、9月にベンガル湾で予定されている印日米豪4カ国にシンガポールまで加えた5日間の民主国海軍の大演習(日本はミサイル駆逐艦や潜水艦を派遣)を考慮すると、経済関係強化だけでなく極めて意義深いものがある。中国がパキスタンの港湾建設を支援して交通遮断線を敷き、バングラデシュ、ミャンマー、カンボディア、南シナ海に情報探知装置を備えてインドの政治的影響力を「地域限定」とし、日本威嚇の道具に歴史を利用するのであれば、こちらにも同じことがやれますよというメッセージを、日印は中国に対して送っているのだ。インドは安倍を最高の禮をもって歓迎し議会における演説を招聘したが、これは胡錦涛の訪印時には認めなかったものである。云々
印中関係は90年代以降関係改善が進んでおり、とくに貿易関係は急速に深まって、80年代までは取るに足らぬ量であったものが、今では金額では日印貿易の3倍以上という急成長を遂げている。しかし、インドの東西隣接地域にさまざまな援助を与えて中国の政治的・経済的・軍事的影響力を拡大し、インドの影響力を閉じこめようとする試みに対しては、インドは深い警戒の念を解いてはいない。同じ観点は日本にとっても重要であろう。
今回の安倍訪印による日印関係の強化は、これまで近隣アジアに偏っていた日本のアジア外交をもっと広い観点から問い直し、年来私が主張している「海洋アジア連合」(拙著『インド世界を読む』創成社新書、25章参照)にアジア政策の重点を移す上で、大きな進展であると考える。北のいわゆる先進国だけでなく、南のインドに視点を置いた国際関係の新たな分析と判断を、今後深める機会としたいものだ。安倍訪印外交の成功を祈る。
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