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2020-05-31 00:00
グレネル駐独米国大使について
河村 洋
外交評論家
本欄4月25日付けの拙稿「(連載2)ロシアの憲法修正が及ぼすグローバルな意味合い」にて言及したトランプ政権のリチャード・グレネル暫定情報長官について「駐独大使より転任」と記しましたが、正しくは大使在任のままで暫定長官に就任ですので、ここに訂正致します。
さてこのグレネル大使ですが、去る5月26日にジョン・ラトクリフ下院議員が国家情報長官に正式に就任したことを受けて暫定長官職を退任しました。その後の彼の動向については、トランプ政権のロシア疑惑を追及する有志グループのモスクワ・プロジェクトが注目すべき報道を取り上げています。それは『ポリティコ』誌5月26日付けの記事で、来る大統領選挙への梃入れのため、5月21日に公表されたFOXニュースの世論調査でさえ劣勢なトランプ陣営の選挙対策チームにグレネル氏が入るということです。そのこと自体は由々しき問題ではありませんが、グレネル大使はトランプ政権によるアメリカ外交の私物化に手を貸してきました。
具体的には米独両国の外交当局の頭越しにドイツ国内の極右との接触を深めたり、トランプ政権の政策を推し進めるために自らのツイッターで国務省の方針と違うことを述べて混乱を招いてもいます。さらに先日ロシア疑惑をめぐって、ウイリアム・バー司法長官がマイケル・フリン元国家安全保障担当補佐官への捜査を打ち切らせたことに対し、司法省の元職員2,000人以上が法の支配に反するとして抗議の公開書簡に署名しています。それに対してグレネル氏は暫定国家情報長官の地位を利用し、フリン氏とセルゲイ・キスリヤーク駐米ロシア大使の会話内容を暴露したオバマ政権関係者のリストをバー司法長官に渡すという挙に出ました。
このように国家よりもトランプ大統領への忠誠を人物がドイツ大使、国家情報長官といった要職を担ってしまいました。グレネル氏は次期選挙でトランプ陣営を指揮することになりますが、モスクワ・プロジェクトは彼の大使としての仕事ぶりがすでに外交よりも選挙運動だったと評しています。ヨーロッパに赴任の大使ということで、日本ではグレネル氏への注目はあまり高いとは言えません。しかし今回の訂正を機に、彼の行動を通じて我々がトランプ政権の危険性を再確認できればと願ってやみません。
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