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2020-06-24 00:00
(連載2)北朝鮮は何を狙っているのか
松川 るい
参議院議員
仮説2の留意点は、トランプ大統領が選挙戦にとって有利になるか不透明な北朝鮮との交渉を再開するかである。北朝鮮が核兵器を30~40も増産しているとのSIPRIの分析にあるように、北朝鮮は核保有国であることの既成事実を強化しようとしている。したがって、北朝鮮との交渉は、「核廃絶」ではなく「軍縮交渉」にしかならないのが明らかで、トランプ大統領は興味がわかないだろう。
他方、金与正談話を読み解くと、韓国に対して強烈な不満をぶちまけているだけではなく、「やるべき仕事をやれ」と要求している。韓国に対して、米国や国際社会に気を遣うのではなく、より明確に北朝鮮のために働くように、制裁解除という本丸に取り組めと要請している。筋悪なことに、文在寅大統領がそのような方向に動く可能性は十分あるとも思う。ただ、さすがに南北連絡事務所爆破には、韓国政府も「(今後挑発が続くようなら)強力な措置を取らざるを得ない」と発言しているし、今後北朝鮮が軍事行動を取れば、当然韓国政府も対応せざるを得ないだろう。南北関係はしばらく緊張する。
とはいえ、北朝鮮が既に融和的な韓国をわざわざ敵に回す必要もないではないか。そうなれば、日米韓離間というより、日米韓連携促進の方向の材料を与えることになり北朝鮮にとって損ではないか、という疑問もわくかもしれない。が、私はそれでも文在寅政権の対北融和路線は決して揺らぐことはないだろうと考える。文在寅大統領にとって、南北融和は、政治家文在寅のレゾンデートルにも等しいからだ。但し、北朝鮮は、韓国に対して高い期待はしていないのではないか。金与正談話は全体からすれば、「文在寅は使えない」という不満がストレートに伝わってくる内容である。むしろ、韓国は仮説2の瀬戸際外交の前哨戦としてダシに使われているだけとも思えなくはない。
陳昌洙・世宗研究所長からは、韓国国内の南南葛藤を引き起こして混乱させるつもりではないかとの指摘があった。そうかもしれないが、もともと「下駄の雪」の文在寅政権の勢いを削いで死にかけている保守派を生き返らせる必要はない。米国と中国の気を引くことに集中していて、そもそも韓国がどうなろうと余り関心がないのだ。コロナ禍の中、米中冷戦は激化し、国際協調枠組みが後退する歴史的転換の中に我々はいる。北朝鮮が関心を引きつけようとしても、トランプ大統領はコロナに黒人差別反対暴動にと国内対策で忙しく、11月までは動きにくい。日本としては、状況を注視しつつ、不測の事態に備えて防衛を万全にしておく必要がある。また、日米同盟、日米韓の連携を強めるよう働きかけるべきである。(おわり)
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