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2020-06-25 00:00
政治家は私益のために法律をつくるのか
赤峰 和彦
自営業
河井克行衆議院議員(前法務大臣)とその妻の河井案里参議院議員が公職選挙法違反の容疑で逮捕されました。彼らが「票を金で買った原資」は国民の税金でまかなわれた政党交付金から出されています。政党交付金制度は、小沢一郎氏主導の下、小選挙区制とセットで制度化されたものです。政党交付金は、直近の国勢調査で判明した人口を元に国民1人あたり年間250円で決められる額で計算されます。この結果、国会議員1人当たり5000万円余のお金が国会議員の数に応じて政党に配布されます。2020年分の政党交付金は、自民党が172.6億円、国民民主党が46.4億円、立憲民主党が42.9億円、公明党が30.2億円、日本維新の会が18.5億円、社民党が3.6億円、NHKから国民を守る党が1.6億円、れいわ新選組も1.6億円を、それぞれ年4回に分けて受け取ります。政党交付金を受け取った政党は、党の方針により異なりますが、年間、数100万円から1000万円程度を各国会議員の政治団体に支給しています。各国会議員が受け取った交付金は、領収証さえあれば使途が問われない都合のよいお金になります。したがって、透明性が全くないどころか国民のために使われることは皆無です。
2014年の総選挙後に解党した「みんなの党」は8億円を国庫に返納しました。このように政党が解党する際は残余の交付金は国庫に返納しなければなりません。小沢氏は新生党から新進党に移行する直前の1994年に新生党に残っていた9億円余の資金を小沢氏が実質的に運営している政治団体に移しています。また、2003年には自由党解党に伴い13億円余を「小沢一郎政治塾」に移しています。さらに、最近では、2019年4月に解党した自由党の9億円余を小沢氏の関連政治団体に移しました。こうした行為を繰り返し、現在では小沢氏が在籍する国民民主党には100億円余の繰り越し資産があります。
また、政治家が個人献金を受ける際、資金提供者は税制上の特典を受ける方法があります。これを利用して積極的に寄付を募る政治家が多数存在します。個人献金は年間150万円までとの制限はありますが、個人が政党や政治団体に寄付すれば、納めた税の還付が受けらます。要は、税金を政治家に収めているようなもので、これも政治家にとってお手盛りの典型的事例です。
以上、ほんの一例を見ただけでも、政治家がいかに自分たちに都合の良い法律を作ってきたかがわかります。国会で政治と金の問題を野党が追及しても、実は彼らも利益共同体の一員にすぎないのです。したがって、政治家は自分たちの利益のために、国会ぐるみで全ての国会議員が税金をかすめ取っているのです。残念ながら、改革できる唯一の存在である国会議員には、これを改善すると都合が悪いのでしないですし、第4の権力に期待しようとしても大手メディアにはこの問題にメスを入れるどころか報道をする気自体ろくにありません。解散も囁かれる今こそ、河井夫婦のスキャンダルとして矮小化するのではなく、背後の大きな構造的問題について、有権者は深く考えるべきでしょう。
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